
府中市美術館(府中市浅間町1、ハローダイヤル050-5541-8600)で9月20日、企画展「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治(つぐはる)と洋画家たちの猫」が始まる。
木村荘八「猫恋人(ねこらばさん)」藤沢市(招き猫亭コレクション)
藤田嗣治は1886(明治19)年東京生まれ。1905(明治38)年に東京美術学校西洋画科へ入学し、1913(大正2)年に渡仏してパリに居を構えた。第1次世界大戦を経て間もなく頭角を現し、1920年代には独自の下地に日本画の筆で描いた裸婦作品群が「乳白色の裸婦」と呼ばれ脚光を浴びる。裸婦の横に猫を描いたのが始まりとなり、自画像にも描き込むなど猫は藤田にとって欠かせないモチーフになった。
同展では、藤田が裸婦と共に描いた猫の作品を出発点として、日本の洋画家たちの猫作品をたどる。前史となる西洋絵画や日本画も含め、26人の作家による83点の作品を展示。学芸員の音ゆみ子さんは「猫は洋画に欠かせないモチーフだが、藤田以前の洋画にも同時代の西洋絵画にも、実は猫の絵は多くない。パリで日本人画家として活躍した藤田が、日本と西洋の猫の絵の歴史を見渡しながら猫を描いたことで、猫は日本の洋画に特有のモチーフとなった」と話す。
見どころは、猫とフジタの乳白色を鑑賞できる「五人の裸婦」や、藤田が最後まで手放さなかった「猫を抱く少女」などの傑作。人物を主役にする西洋の作品と豊富な動物絵画を残した日本の作品の比較も行うほか、流行歌に着想を得た木村荘八のモダンな猫や、中原實の愛くるしい子猫など、猫から迫る洋画家たちの魅力も伝える。猪熊弦一郎が描いた猫の傑作15点も一堂に展示する。
音さんが作品について解説する展覧会講座を11月8日14時から、府中市生涯学習センター(同館から徒歩5分)で開く。無料。
開館時間は10時~17時(最終入館は16時30分)。会期中の休館は月曜(祝日の場合は翌日)。企画展観覧料(コレクション展を含む)は、一般=1,000円、高校生・大学生=500円、小学生・中学生=250円、未就学児と「府中っ子学びのパスポート」利用者は無料。10月11日~13日は「市民文化の日」で全員無料(混雑時は入場規制あり)。12月7日まで(一部の作品の展示替えあり)。