芸術・文化・国際交流をテーマにした財団法人「プラザ・ファンデーション」(調布市仙川町1)が8月23日に設立され、東京アート・オペラの第1回制作の楽劇「トリスタンとイゾルデ」のミニパフォーマンスを交えながら9月17日に正式発表された。
楽劇「トリスタンとイゾルデ」の歌を披露する新藤昌子さんと三重野広美さん
同財団の理事長は作家の小中陽太郎さん。理事には、プラザ・ギャラリーや東京アートミュージアム創設者の伊藤容子さん、多摩美術大学美術館学芸員の小林宏道さん、ドイツ文学者で東京大学名誉教授の高辻知義さん、作曲家で指揮者の伊東乾さん。監事は城南信用金庫常勤監事の新田輝夫さんが名を連ねる。
財団設立のキックオフ企画としてプラザ・ギャラリー(同、TEL 03-3300-1010)で10月1日から、「深淵からの希望-『踏み絵』と『ダモイ(シベリア抑留からの帰還)』」を開催。作家の遠藤周作さんが小説「沈黙」を執筆する契機となった南山手十六番館(長崎県長崎市)所蔵の踏み絵など隠れキリシタンゆかりの品々と、第二次大戦後のシベリア抑留中にラーゲリ(強制収容所)で「アムール句会」を主宰し、芸術活動で仲間に生きる希望を与えた山本幡男さんの遺品や手書き日本語壁新聞などを展示する。
期間中は日替わりでイベントを開催する。1日は18時から、キックオフ演奏会「トリスタンとイゾルデ」より抜粋。2日は18時から、山本幡男さんの長男で立教大学名誉教授の山本顕一さんによるギャラリートーク「ラーゲリ/焼け跡 零時からの文学-アムール句会と病棟俳句」。3日は18時から、日本倫理学会会長で鎌倉女子大学教授・東京大学名誉教授の竹内整一さんによるギャラリートーク「現代日本の踏み絵とは何か」。4日は18時から、東京アート・オペラ総裁で「トリスタンとイゾルデ」の翻訳をした高辻知義さんによるギャラリートーク「ヴァーグナーから見る総合芸術の可能性」。5日は16時から、遠藤周作さんの長男・遠藤龍之介さんのビデオメッセージを交えて財団理事長で作家の小中陽太郎さんと芸能評論家の須藤甚一郎さんによるミニ・シンポジウム「遠藤周作を動かした踏み絵たち」。6日は15時から、独文学研究者で慶応義塾大学教授の粂川麻里生さんと建築家で愛知工業大学教授の)宮本好信さんによるギャラリートーク「新しい協創の場を考える」。
理事の一人でプラザ・ギャラリー創設者の伊藤容子さんは「今まで25年にわたって美術活動を続けてきたが、そこに文学と音楽を増やした企画をしていきたい。新財団の役員は第一線で活躍している芸術家ばかりなので、皆さんの力を発揮して国際交流まで広げられるような活動をしたい」と抱負を語った。
キックオフ企画の開催は6日まで。開廊時間は10時~18時30分。入場無料。