調布駅周辺で2月1日、全国で初めて「ICT(Information and Communication Technology)地域防災情報支援システム」のフィールド試験が行われる。あらかじめ決められたルートを通って避難するのではなく、刻々と変わっていく地点情報を、インターネットを活用して避難者が自ら情報を収集、判断して避難をする例は全国でも初めてという。主催は総務省関東総合通信局と関東ICT推進NPO連絡協議会。
「ICT地域防災情報支援システム」における情報収集と整理・提供の概念図(出典:関東総合通信局)
首都直下型地震が発生し、調布駅南側・品川通り周辺の木造住宅が比較的密集しているエリアで同時多発火災や建物の倒壊が起こったことを想定して行われる同実験。「布田駅南ふれあいの家」をスタートし、最寄りの避難所である第二小学校へ向かうも、建物倒壊のため通行止めになっていることからシナリオは始まる。
このように、最寄りの避難所への道が通れなくなった場合などに、どのようにして他の避難所の情報や、そこへの安全なルートを市民に伝えるかが重要となるが、同実験では、事前登録した市民らが災害時の地域情報の収集を行い、SNSを活用して投稿。避難所や公共施設、大学等に配置される「情報団長」が、集まった情報の中から確度の高い情報を選定し防災情報の整理・まとめを行う。
まとめられた情報はコミュニティーFMやケーブルテレビなどが活用するほか、東北大学、NPO法人「湘南市民メディアネットワーク」、デジコンキューブで構成される産学協同組織「TM委員会」が開発した「ネオポスター」でも提供される。同ポスターはQRコードなど特別なコードを作成することなく、専用アプリケーションをインストールしたスマートフォンなどで写真撮影するだけで関連情報を入手できるシステム。今回は、実験区域内のコンビニや居酒屋などにポスターを掲示し、避難者が情報収集できるようにする。
総務省関東総合通信局情報通信連携推進課の山本正文課長は「災害時に、広域情報はマスメディアが伝えるが、被災地には地域情報がないという状況を解決したい。『防災』は地域情報化の一部に過ぎず、今回の実験をきっかけに地域情報化が促進されるとともに、調布がそのモデルになれば」と話す。
第一小学校で2月1日13時~15時、ネオポスターのデモンストレーションを一般公開する。