
調布市小島町にある「えの木駐車場」(調布市小島町1)の一連の電柱看板が「第14回 東京屋外広告コンクール」の東京屋外広告協会会長賞を受賞し、3月17日、表彰式が行われた。
えの木駐車場の電柱看板。花の名前「なんて読む?」シリーズが並ぶ通り
同駐車場社長の井上一格さんは2020年のコロナ禍に、営業自粛を余儀無くされた近隣の飲食店の助けになればと、希望する参加店に無償で同駐車場のサービス券を提供する飲食店応援キャンペーンを開始。周知のため、自身をデフォルメしたオリジナルキャラクター「えの木P社長」を誕生させ、ポスターや看板などで展開を始めた。「駐車場経営は周囲がにぎわってこそ」と、現在も同キャンペーンを継続しているほか、調布駅周辺に明るくにぎやかなイメージの広告を次々に掲出し、まちの話題にもなっている。
電柱一本ごとにデザインが異なる同駐車場の電柱広告は現在68本97デザインに上る。調布駅周辺、住宅街、通学路などに、同キャラクターを派生させたデザインをはじめ、明るい色使いで花・木などの名前を漢字で紹介するシリーズや、電柱近くの公園、施設に関連したデザイン、店舗とコラボレーションしたデザインなどで、エリアごとにアイデアを凝らした看板を配置している。このうち、審査対象期間に設置した、62本90デザインの電柱看板が、同コンクールの「街並み(商店街や通り)を構成する屋外広告」の部門で評価され、今回の受賞となった。
東京都の事業を引き継ぎ、景観と調和の取れた屋外広告を表彰する同コンクールには今回、101点の応募があった。受賞者はほかに、シーボン、テレビ東京、八王子市、渋谷ヒカリエ、明治、東日本高速道路、アサヒ飲料、ニベア花王、台湾観光局、カルビー、ALOHA LIVINGが名を連ねた。
審査委員長の杉山朗子さんは、講評の中で、「昨今のデジタル化などによる屋外広告媒体の変化は著しく、多様化を強く実感した一方、今回、電柱看板など、街なかで毎日触れる楽しみや、くすっと笑わせてくれるものにも、広告本来の意義を再確認することができた」と話し、同駐車場の広告を、まず作品数に「圧倒された」と言い、「よく考えられていて、その場所に見に行きたくなる」と評価した。
「えの木P社長」のキャラクターデザインをはじめ、同駐車場の広告や、受賞した全ての電柱看板を手がけるデザイナーの原子尚之さんは「コロナ禍に社長のキャラクターを作ったことがきっかけで、ここまで展開が広がったことに驚いている。電柱看板がある通りは自分の通勤路。通勤途中、通学路付近で小学生が電柱を見ながら話している姿を目にすることもあり、街の風景になっているようでうれしい」と喜びを語った。
井上さんは「大企業のビッグプロジェクトに並んで、当社の電柱広告に注目をしてもらえてうれしい。コロナ禍に生まれた『調布駅前ににぎわいを』というキャッチフレーズで地道に展開を続けてきた広告が実を結び、今回、東京都全体に少しでも調布をPRできたのではないかという思い。看板を探して散歩したり、看板を見に遠方からも駅周辺に来てもらえたりするような、スポットの一つになれば」と受賞を喜ぶ。
入賞作品は、同コンクール特設サイトで紹介されている。