調布市初の中学生海外体験学習事業で8月にオーストラリアを訪れた市内の中学生20人が11月9日、調布市文化会館たづくり(調布市小島町2)で報告会を行った。
同事業は、市教育委員会が市内の公立中学2年生を対象に本年度始めた海外派遣プログラム。派遣先はオーストラリア・パースで、日程は8月16日~24日の9日間。現地ではホームステイ、現地校授業体験、フィールドワークなどを行った。中学生が外国の文化や生活、価値観に直接触れることで、多文化共生への理解を深め、国際的な視野やコミュニケーション能力を培うほか、国際社会で主体的に行動するグローバル人材の育成を図る狙い。
市内8校の公立中学校から100人以上の応募があり、書類審査と面接を経て20人が選ばれた。事前に外国語指導助手(ALT)による学習会を4回実施。生徒らは英語に加え、オーストラリアの文化や生活について学び、思いや意見を英語で伝える練習を重ねて渡豪に臨んだ。
報告会では、保護者や教育関係者らが見守る中、現地の様子を伝える動画に合わせ、英語を交えながら発表した。生徒らは3日間、パースの現地校「アーシュラ・フレイン・カトリック・カレッジ」に通い、授業を受けたほか、調布市を紹介する発表なども行った。日本語を学ぶ現地校生徒との交流授業では、ソーラン節を一緒に踊ったり、浴衣姿で抹茶をたてて振る舞ったりするなど、異文化交流を楽しんだ。
現地大学生が案内するフィールドワークでは、電車でヨーロッパの面影が残る港町フリーマントルを訪れ、日本とは違う街並みや遺跡を散策。最終日はそれぞれのホストファミリーと共に、ハイキングやスポーツ観戦などを楽しんだという。
報告会の後半では、生徒と長友貴樹市長によるトークセッションも行われた。市長の質問に対し、生徒らは「英語はつたなくても、アイコンタクトやジェスチャー、リアクションが大切」「文法や間違いを恐れず、伝えようとする気持ちが必要」「自分の『普通』は外国では特別だった」などと答えた。異文化・多文化に触れた生徒の多くは「相手を尊重することの大切さを感じた」と話し、「自由な雰囲気の現地校と、ルールが多い日本の違いを実感した」とも語った。
帰国後もホストファミリーと連絡を取り合っている生徒もいる。多民族国家オーストラリアでの等身大の体験が伝わる報告会となった。トークセッションの締めくくりに、長友市長は「外国は長く住めばまた違う感想にもなる。体験してきたことを友達や後輩に感じたまま伝えて、1期生としての役割を果たしてほしい」と呼びかけた。