調布FMが府中刑務所で受刑者を対象に放送しているラジオ番組が4月13日、開始から6周年を迎えた。
同番組は「けやきの散歩道」という1時間の生放送で、毎月第2水曜日、調布FMのディレクターと長谷川理沙アナウンサーが機材を持ち込み、臨時に作ったスタジオから所内スピーカーを使って放送している。番組では毎月テーマを決めて受刑者からメッセージやリクエスト曲を募集し、パーソナリティーの長谷川さんが紹介しながら進めている。4月のテーマは「春」。
番組開始当初は刑務所という特殊な環境の中、スタジオを設けて番組を作ることに緊張したというが、依頼した刑務官の願いである「受刑者の心に潤いや癒やしを与え、自分や他人のことを考える時間を持ってほしい」という提案の役に立てれば、と続けてきた。過去には、新潟県中越地震(2004年)で母親が震災に遭ったことを書いたメッセージもあった。
長谷川さんは「番組へリクエストを出すために一生懸命メッセージを書いたり、放送でほかの人の話を聞いたりすることは、受刑者の皆さんにとって価値のある経験になっていると感じる。放送を楽しみにしていると言ってくれる人も多くやりがいがある」と話す。「やがて社会に復帰したとき、自分の気持ちを整理することや他人の意見に耳を傾けることにつながれば」とも。