都立神代植物公園(調布市深大寺元町5、TEL 042-483-2300)が5月12日、大温室をリニューアルオープンした。
同園の大温室は1984(昭和59)年に建設し、老朽化により2014年から大改修工事を行っていた。新しい大温室は建築面積が約1.2倍の2650平方メートル、延べ床面積が約1.4倍の3260平方メートルに拡張。全面のガラスを断熱性の高い複層に変え、エネルギーの効率化を図った。主園路を広げて車いす移動にも配慮し、スロープの勾配を緩め手すりを設置するなどバリアフリー化した。夜に開花する植物を見る夜間開園にも対応できるよう、フットライトなどの歩行照明も設置した。
当温室の植物は2倍の合計約1300種・品種に増え、室内は「熱帯花木室」「ラン室」「ベゴニア室」「熱帯スイレン室」「小笠原植物室」「乾燥地植物室」に分かれている。熱帯花木室ではバナナなどの熱帯果樹や、沙羅双樹(さらそうじゅ)などの宗教樹、食虫植物を栽培。ラン室はオープニング当日朝に咲いたバケツランや猿の顔に見えるモンキー・オーキッドと呼ばれる珍しいものなど、約150種・品種のコレクションから開花した株を展示する。
ベゴニア室では香りのある品種や球根ベゴニアの原種コレクションを展示。椅子を置いた記念撮影コーナーも設置し、隣接するベゴニア栽培室もガラス越しに見学できる。熱帯スイレン室は池にブロア装置を設置して水生植物の環境を整え、子どもが乗れるほど大きく育つパラグアイオニバスなどを栽培。ハイビスカスやパイナップル類の展示と、開花実績のある世界最大の花序を持つショクダイオオコンニャクも紹介する。
小笠原植物室は、世界自然遺産小笠原諸島の植物の中から、特徴的な乾燥性低木林の希少種・固有種・広域分布種を展示。乾燥地植物室ではサボテン科と多肉植物のほか、2015年に協定締結したビーニャ・デル・マル植物園(チリ)から贈られた植物などチリ原種コーナーもある。
担当者は「開室したばかりで小さな植物もあるが、これから大きく育っていく成長を見守りながら楽しんで」と話す。
大温室前のばら園では「春のバラフェスタ」を開催している。バラは朝に香りが強くなるため期間中の土曜・日曜に「早朝開園」(8時)し、園長(22日)と園芸係職員(29日)が「ばら園ガイドツアー」をする(定員20人)。ガイドボランティアによる案内は22日までの毎日(10時30分、13時30分)。テラスでは期間中の日曜に「ばら園コンサート」を行い(11時、14時)、植物会館では「春のバラ展」「春のミニバラ盆栽展」を開催する(22日まで)。期間中、飲み物や軽食を提供する「バラのカフェテラス」や、バラにちなんだ小物を販売する「ロゼマルシェ」を営業。
ガイドボランティアによると「今春はバラの開花が早く遅咲き品種もすでに咲いている」といい、「見頃を逃さぬうちに」と呼び掛けている。
開園時間は9時30分~17時(入園は16時まで、大温室は16時30分まで)。月曜(祝日の場合は翌日)休園。入園料は、一般=500円、65歳以上=250円、中学生=200円(都内在住・在学の場合は無料)、小学生以下無料。「春のバラフェスタ」は5月29日まで。コンサート・ガイドツアー・野外営業は荒天中止。参加費は入園料のみ。