調布・京王線西調布駅近くの商店街「西調布一番街」に2月22日、手芸古書と雑貨の店「folklora(フォルクローラ)」(調布市上石原1、TEL 042-445-4184)がオープンした。
「いつか古本屋になりたい」という夢があった店主の石井佐祐里さん。古書店に数年勤務した後に独立、聖蹟桜ヶ丘に自身の古書店を開店した。最初の店舗は「古い本を集めた町の普通の古本屋だった」と話す。夫の転勤に伴い店を閉めた後、香川や富山などを拠点にオンラインショップ「古書玉椿(たまつばき)」を運営し、イベントなどに時折出店するスタイルで古書店を続けていた。
ネットショップの運営を通して古書店としての方向性が見え、好きなものや取り扱いたい本がはっきりと固まったため、「自分が気づいた世界観をギュッと凝縮した実店舗を再び持ちたいと考えるようになった」と言う。「『西調布つくるまちプロジェクト』の存在を知り、同一番街に出店を決めた」とも。
元美容院の店舗を改装した店内は、壁を白く塗り昭和のすりガラスの入ったドアや窓をそのまま残し、レトロな雰囲気を演出。壁一面に作り付けられた大きな書棚には、国内外の手芸本や手仕事、昔の人の暮らしに関する本、ヨーロッパの絵本やイラストの入った図鑑など、石井さんがセレクトした古書が並ぶ。「古書は、同じ本でも印刷の具合などが違っていてそれぞれに味がある」と石井さん。
販売している本は、ヨーロッパに行き直接買い付けたものや古書市場、買い取りなどで集めたもの。奥深い古書の世界で、有名な作家や美術館にあるような類いの書物ではなく、昔の人の暮らしぶりや手仕事に触れる本、織物や刺しゅうなど生活の営みに密着する古書などが多い。「古い時代のものにずっと興味があり、昔の暮らしを伝えるような本が個人的には好き。有名な本ではないかもしれないが、名も無き人々の生活の営みに『小さな美術』を感じるので、愛着を持って集めている」とこだわりを持つ。
店内には、ヨーロッパで買い付けたハンドメードの雑貨や洋服などもディスプレーする。一部に貸し出し可能なギャラリースペースがあり、現在は、「makiras(マキラス)てしごと展」を開催中で、アジアの刺しゅう布やリボンなど手芸パーツの展示販売会を行っている(3月17日まで)。同21日からは、イラストレーターで人形作家のイシイリョウコさんの個展を開催予定。
石井さんは「ウェブショップではできない『手作りのものを眺める』『ギャラリーの展示をじっくり見る』といった、視覚を使う実店舗ならではの楽しみを提供できれば。手芸などのワークショップも開催する予定。お客さまにも教室やギャラリーへの作品展示に参加していただき、一緒に成長していける店にしたい」と話す。
営業時間は12時~18時。日曜・月曜定休。