鷹匠の放鷹(ほうよう)によるハトの追い払いが10月30日、神代団地(調布市つつじヶ丘、一部狛江市)で行われた。
1965(昭和40年)から入居を開始し、全59棟、約2000世帯が入居する同団地では現在、団地をすみかにするハトの増加が住民を悩ませている。住居のベランダに侵入し、ふんや巣を作るなどの被害が多発。各戸がベランダにネットを張るなどの対策を施してきたが、費用がかかる上、根本的排除に至っていないことから、同団地の管理を受託するURコミュニティー(立川市)が、関西などで倉庫や工場、団地などの害鳥駆除で実績を上げ注目されている放鷹による対策を提案し、実施に至った。同対策は、タカを敷地内で何度も飛ばすことで縄張り意識の高いハトを寄りつきにくくし、営巣を防ぎ、傷つけることなく根本排除につなげる。
大阪に拠点を置くグリーンフィールド(大阪市)所属の鷹匠歴7年の安井寛さんは、以前マンション管理の仕事をしていた時に、タカの効果を目の当たりにし、「これからはタカだ」と、同社に入社。追い払い2回目となったこの日、安井さんとともにハリスホークというタカの樹(いつき・雌)と粋(すい・雄)が、住民らに見守られながら活動。安井さんの腕から放たれたタカが団地のベランダに飛来すると、ハトが飛び立ち、カラスはタカを威嚇、上空はやや騒然となった。散歩中の保育園児や親子らも足を止めては歓声を上げ、住民らもタカを見守った。途中、樹が近くの野川で水浴びを始めてしまうハプニングが起きるなど、タカの愛嬌(あいきょう)のある姿やイベント性も同対策の魅力という。
URコミュニティーの木嶋基晴さんは「2回目で既にハトが激減している実感がある。景観や環境を壊さず、安全で確実な方法で成果が出せれば、住民にも受け入れやすい。この対策は、定期的にあと数回行い、根本排除に近づけていく予定。ほかにも害鳥に悩まされているエリアは多いので、良い事例になれば」と話し、安井さんは「ハトは縄張り意識が非常に強いので、追い払ったハトが、ほかの団地に住み着くことはなく、縄張りのない森などに逃げていくので安心してほしい。今後、新しいハトの飛来を防ぐには、住人がなるべく毎日ベランダに出るなどして、気配を感じさせることが大事。人とタカの協力で駆除していくのが一番」と話す。