府中市の「国史跡 武蔵国府跡(国司館地区)史跡広場」(府中市本町1)が第1期整備工事を終え11月25日、「国司館(こくしのたち)と家康御殿史跡広場」としてグランドオープンした。
同広場は府中本町駅に隣接する場所で、1300年ほど前に武蔵国府の国司館が置かれた。さらに430年ほど前には徳川家康の府中御殿も築かれ、市の歴史を象徴する国の史跡として知られる。
国司館は、奈良時代前期に都から武蔵国の国府に赴任してきた国司の居室兼執務室。さまざまな儀式や饗宴が行われ、都から最先端の文化が伝えられた国府の重要な施設だった。
府中御殿は、家康が奥州仕置(豊臣秀吉による奥羽地方に対する領土仕置)の帰途の秀吉をもてなすために造営したといわれ、秀忠との対面もここで行われた。富士山が見える景勝地で、家康は鷹狩りなどで度々訪れた。
同広場には国司館の建物を実物大(2.4メートル)の柱で復元し、10分の1スケール国司館復元模型を設置した。古代万葉集に登場する草木を植えた「国司館万葉の庭」もある。
国司や家康府中御殿の当時の様子を再現した映像をバーチャルリアリティー(VR)として見ることができる「武蔵国府スコープ」を貸し出している。顔に装着するゴーグルタイプとタブレットタイプを用意。自分のスマートフォンで簡易版を見ることもできる。貸し出しは無料(雨天時は貸し出し不可)で、台数に限りがあるため10人以上の場合は管理事務所(TEL 042-365-1615)で予約する。
担当者は「柱などの復元模型や武蔵国府スコープを見ることで、府中の長い歴史を感じてほしい。大國魂神社に近く芝生広場もあるから、小さな子どもからお年寄りまで気軽に遊んだり学んだりする史跡になれば」と話す。
開園時間は9時~17時(スコープの貸し出しは15時まで、返却は15時30分まで)。休園日は年末年始(12月29日~1月3日、悪天候などにより休園する場合あり)。入園無料。駐車場なし。