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調布・多摩川の「おさかなポスト」廃止から1カ月 川への外来魚投棄増加懸念も

廃止された「おさかなポスト」、空っぽのいけす

廃止された「おさかなポスト」、空っぽのいけす

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 調布を流れる多摩川そばに設置されていた「おさかなポスト」が閉鎖され1カ月がたった。熱帯魚など外来魚の投棄増加を懸念する声も上がっている。

多摩川の河川敷を毎日見回り続ける山崎充哲さん

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 稲田公園(川崎市)に水槽があった「おさかなポスト」は、家庭で飼えなくなった外来魚やカメの投棄防止を目的に、2003年に漁協総代の山崎充哲さんが設置した。これまでに、約200種類10万匹以上を無償で引き取り、譲渡先を探すなどの活動を行っていた。

 ポストの廃止は、いけすの老朽化に伴う川崎市の全面改修工事の計画に対し、「さかなの家」を委託管理していた漁協が、高齢化などを理由に閉園を申し出たため。「おさかなポストについては存続を市に掛け合ったが解決に至らず、『さかなの家』の一角に設置していたので同時に廃止となった」と山崎さん。現在、漁協には約200人の会員がいるが、80歳以上の高齢者が多くなっているという。

 山崎さんは「ポストには、夏休みの金魚やバブル時代の超高級魚など、市場で売られているありとあらゆる魚がいた。東日本大震災後は、『マンションに水槽を置くのが怖い』と飼い主がやって来るなど、常に時代や世相を感じる場だった。最終日には約2千人が訪れ、いけすには子どもたちの行列ができた」と振り返る。

 同ポストが担っていたのは、「『命の大切さを学ぶ』『生き物に触れ合う』『多摩川の生態系などの環境学習』の3点だった」と山崎さん。「外来種は駆除して当然と言わんばかりのテレビ番組を見掛けるが、生き物は全て命あるもの。生態系を守ることと同様に、命の大切さを子どもたちに教えていくことも大切。この多摩川で、おさかなポストが多面的に発信し続けた意味は大きかった」とも。

 現在は、生田にあるNPO法人「おさかなポストの会」の飼育管理事務所で、対面方式での引き取りを続けている。山崎さんは「閉鎖を知らずにペットを持ち込み、多摩川や水路に捨てていく人が出ている。『タマゾン川』に戻らないといいが」と危惧する。

 「今後は多摩川流域の市など行政が広域でまとまり、連携して多摩川のことを考えていかねばならなのでは」と山崎さんは話す。絶えることのない思いを多摩川に注ぎ続け、空っぽになったいけすと河川敷を毎日欠かさず見回っている。

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