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調布・神代植物公園がオガサワラグワ里親1号に 絶滅危惧種の分散保存で

神代植物公園の大温室で展示中のオガサワラグワ

神代植物公園の大温室で展示中のオガサワラグワ

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 都立神代植物公園(調布市深大寺元町5、TEL 042-483-2300)はオガサワラグワの里親第1号として4月26日、国立研究開発法人「森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター」(日立市十王町伊師)から苗木を受け取り、大温室で展示を始めた。

「オガサワラグワ里親計画」におけるオガサワラグワ苗木の受け渡し式。苗木の右側が森林総合研究所林木育種センターの関係者、左側が神代植物公園の関係者

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 オガサワラグワは小笠原諸島の父島・母島・弟島に自生する固有樹木で、成長すると高さ15~20メートル・直径1メートル以上になる落葉高木。木理(もくり)が美しく優れた木材として盛んに伐採され、明治の開拓期に個体数が激減した。残った個体も移入種であるアカギなどの侵入やシマグワとの交雑により、島内での存続が危機的な状況で「絶滅危惧IA類」に指定されている。

 林木育種センターは林木ジーンバンク事業の一環として、同種を組織培養しクローン増殖する生息域外保全に取り組んできた。小笠原諸島返還50周年に当たる2018年、記念事業の一つとして増殖した苗木の里帰りプロジェクトが行われた。2019年2月には同センターと日本植物園協会および小笠原村との間で覚え書きが交わされ、「オガサワラグワ里親計画」が始まった。

 同計画は、増殖・保存した苗木を関係機関で預かり分散保存するとともに、日本各地の植物園で保存・展示することでオガサワラグワと小笠原の自然を紹介し、多くの人に理解を深めてもらうことを目指している。今回、同計画の里親第1号に神代植物公園が決まった。

 同園は、植物多様センターを置くなど種の保全と普及啓発活動を続け、特にサクラソウ品種コレクションは「日本植物園協会ナショナルコレクション」に認定(第2号)された実績を持つ。2016年にリニューアルした大温室は「小笠原植物室」が整備され、島固有の乾性低木林の希少種などが栽培されている。

 受け渡された苗木は、父島・母島・弟島の原木から組織培養された雌雄の6鉢。現在、大温室の展示休憩室で2鉢を展示中で、今後小笠原植物室でも展示する予定。順調に育てば、9~10月に落葉し、新芽の芽吹きとともに花柄を伸ばし10~11月に開花し、12~1月に結実する。

 林木育種センター関係者は「この植物園なら環境も最適で、しっかり育ててくれると確信している」と鉢を渡し、同園管理者は「確かに預かりました」と受け取った。

 同園広報係は「小笠原諸島は2011年に登録された東京都初の世界遺産で、唯一の自然遺産。貴重なオガサワラグワを見学しながら、この機会に諸島の自然について学び理解を深めてほしい」と話す。

 開園時間は9時30分~17時(入園は16時まで)。月曜休園(祝日の場合は翌日)。入園料は、一般=500円、65歳以上=250円、中学生=200円(都内在住在学の中学生は無料)、小学生以下無料。

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