調布市内で練習をする拓殖大学陸上競技部の選手が10月17日、本戦への出場権を懸けた箱根予選会に出場する。
緊急事態宣言が解除された5月下旬、地元に帰省していた選手が西調布の寮に戻り、チーム練習が再開した。就任2年目の山下拓郎監督は「2カ月間バラバラだったため、まずは走り込みから始め、体を作ることを中心に6月は過ごした。7月からはなるべく例年の練習をベースにこなし、9月以降は実践練習を重ねた」と、いつもとは異なった今季の状況を振り返る。
ケニア人留学生のラジニ・レメティキ選手については、8月初旬、ようやく日本に入国。2週間の隔離後、チームに合流した。「ラジニは戻ってこられない可能性も考え、今年は日本人だけで走るつもりで練習していた。母国でトレーニングを続けていたので、合流後は順調に調子を上げている」と監督。
新型コロナの影響を受け、大学駅伝の幕開けとなる「出雲駅伝」は中止となったが、箱根予選は無観客で開催される。「大会がなくなるのでは」という不安から選手のモチベーションを保つことが難しかったが、予選の開催が決定した7月11日以降、「今年はシードを取るぞ」と気持ちが上がってきたという。
監督は「練習不足や状況に危機感を抱き、夏以降は集中して練習できた。やっと個々の選手に力がついて、仕上がってきた。大学には合宿への理解など大変感謝している。残り予選会まで体調管理と故障に気をつけ、メンバー選考は10月5日のエントリーまで悩みたい」と話す。
予選会は各大学10~12人が出走。上位10人の合計タイムを争い、10位までが本戦の出場権を獲得する。「箱根の予選を経験しているのは4年の清水だけ。久しぶりの予選会は、独特の雰囲気にのまれないようにしたい。一発勝負、失敗すれば来年までない怖さはあるが、しっかりと準備して挑みたい」とも。
箱根ラストイヤーとなる主将・石川佳樹選手(4年)は「記録会がなくなり、メンバーの調子が分からない中、ただひたすら練習することが難しかった。正直、夏頃までは不安だったが、9月の合宿でめどが立った。他大学の状況、強さがわからず油断はできないが、力を出せば予選は突破できる。全力を尽くしてチームに貢献したい」と話す。
青柳拓郎選手(同)は「5月末の練習再開後も、集団で練習できず、少人数や個別練習が続いたため、チームとしてまとまることが一番難しかった。当たり前にあったレース、日々のチーム練習の大切さを痛感した。全体合宿を乗り越えて戦える状態になったと感じる。個人的には、残り5キロを意識して耐える走りをしたい」と話す。
吉原遼太郎選手(同)は「記録会や関東インカレが中止になり、モチベーションの維持に苦労した。コロナ禍の練習や生活にストレスを感じ、精神的につらい時期もあったが、先輩のやり方などを思い出してまねるなど自分なりに対処した。予選までしっかりと調整して、日本人トップで帰ってきたい」と話す。
最後に監督は「異例の状況に選手も私自身も戸惑いながら、ようやくチームが一つになって足並みがそろった。予選は上位通過で突破して、本戦に駒を進めたい。本戦ではシードを獲得して前回の箱根の悔しい思いを晴らしたい」と意気込みを話す。