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調布の車椅子ダンサーが躍動 「違っているから面白い」多様な社会へメッセージ

車椅子ダンサー・かんばらけんたさん ©かんばらけんた

車椅子ダンサー・かんばらけんたさん ©かんばらけんた

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 リオデジャネイロ・パラリンピックの閉会式でダンスを披露した調布在住の車椅子ダンサー・神原健太さんが現在、同市内外で幅広く活躍している。

畳んだ車椅子の上で回転しながら踊る「ロクロ」を披露、市立第三小学校で

 「先天性二分脊椎症」による下半身まひの障がいがある神原さん。システムエンジニアとして働きながら、車椅子ダンサーとして舞台やテレビCMなどに出演するほか、海外公演や学校などでの講演活動も行っている。神戸生まれで20歳から在京し、現在はボランティア活動で出会った妻と長女、まもなく第二子が誕生予定。車椅子の上で逆立ちするなど、しなやかでアクロバティックなダンスが特徴で、東京都の大道芸ライセンス「ヘブンアーティスト」も持つ。

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 小学3年生の時、「一生歩けない」と母親から聞きショックで号泣したが、少しずつ障がいと向き合い、楽しいことに目を向けるようになった。水泳やシッティングバレーなどパラスポーツの経験もあるが、「強くなれずに悔しい思いをした」と言う。ニュースで見たパフォーマンス用の車椅子に乗りたくてダンスの練習を始め、車椅子ダンサーの道に。「リオの閉会式は、7万の観衆の声援と拍手で地鳴りがした。その大舞台はダンスを始めてまだ半年で、正直、もっとうまく踊りたかったと後悔もある」と話す。

 10月13日、神原さんは、市内の小学校でダンス講演を行った。車椅子ダンスの世界で神原さんだけが行う技「ロクロ」は、畳んで横に倒した車椅子の上に乗り、回転しながら踊る。車椅子と一つになった美しいダンスに、児童らは息をのんで見入った。「みんなと同じようにやりたくてできないことは、別の方法を考えた。どうしてもできないときは前向きに諦めて、徐々に『まあいっか』と思えるようになった。小学生の頃はみんなと違って恥ずかしいと思った車椅子で、今は自分にしかできないダンスを踊っている。違っていても構わない」と話す。

 児童からの「差別体験はあるか」との問いには「幸せじゃないと勝手に思われること、普通に生活していることを悲しそうだと思われること、これは無意識の差別だと思う。僕は幸せに生きているのだから」と答えた。

 交流を終え、神原さんは「ダンスを見てもらうと、壁がなくなって友達のような距離感になる。僕が踊っているのは、実は障がい者理解のためではなく、ただ僕のパフォーマンスを見て、面白い!かっこいい!と直感的に思ってもらいたいから。もしもその先に、それぞれ見た人が何かを感じて、健常者と障がい者の距離が縮まることがあればいい。今日は子どもたちと友だちになれたかな」と笑顔で話す。

 「僕のダンスは、僕の体の特徴を生かしたダンス。みんな違うのが当たり前で、それが『イイ』ということ。『違うからこそ楽しい』と思えれば、互いに尊重し合える多様な社会になるのでは。僕の今の目標は、ダンスをもっとスキルアップすること。学校での講演も続けて、これからも僕のダンスを見たことのない人の前で踊っていきたい」とも。

 東京オリンピック・パラリンピックでの空中パフォーマンス披露を目標に、神原さんは自分にしかできないダンスでこれからも躍動し続ける。