調布の布多天神社が現在、天皇陛下即位記念事業として改修工事を行っている。来春完成予定。
神社が行う記念事業は、社殿の改修などが主流だが、同神社は「参拝者に優しい憩いの神社」を目指す境内整備事業を計画。同神社・禰宜(ねぎ)の野澤晃司さんは「諸説あるが、調布は歴史的に福祉の町だったともいわれ、当神社も病気平癒や厄よけ祈願が多い。創建はおよそ1950年前、当初から医薬、温泉などの神『少彦名命(すくなひこなのみこと)』がご祭神だったと伝わる。癒しの歴史に触れ、参拝者の利便性と心休まる空間を創造する事業にしたい」と話す。
参拝者の目線で、砂利や段差を取り払い、本殿前や参道を敷石などでバリアフリーにするほか、子育て中の野澤さんの目線で、散策や休息可能なスペースを設ける。「多様な参拝者に優しく心地よい、安全に自然と触れ合える神社にしたい」と言う。神域として閉ざされてきた本殿奥の雑木林は、水木しげるさんが通った「妖怪のいる森」としても有名だが、通称「鬼太郎の住む木」などは残しつつも、参拝者が散策できるエリアに生まれ変わる。
四季折々の樹木や草花を鑑賞できるほか、落ち葉やドングリ、石など元からある自然を生かし、小さな子どもが遊べるように工夫する。「車や危険の少ない安全な囲いのあるスペースであれば、子育て中の母親らもおしゃべりしながら見守れるだろう」とも。
「音楽を癒やしに」とグランドピアノを置いて音大生などが気軽に演奏できるスペースのほか、テントを張ってコーヒーや和菓子を販売する計画も。「テーブルやベンチを置いて、参拝後にゆっくりしていただけるように考えた。特に夜間参拝の後は、ライトアップした明かりの下でコーヒーを飲んでひと息していただければ」と話す。コーヒー抽出士とコラボした同天神オリジナルのブレンドコーヒーも提供予定。
野澤さんは「子育て世代、車椅子や高齢の方など、どなたも気軽にお参りに来られるように進めている。コロナ禍で気持ちが沈みがちだが、神社で少しでも癒やされていただきたい。本殿前はすでにバリアフリーになっているので、天気のよい日は、ぜひご参拝いただければ」と話す。
同事業への奉賛金を募集。一般募金=1口3,000円、特別募金=1口1万円、または10万円。問い合わせは社務所(TEL 042-489-0022)まで。