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調布・丸シールで描く絵画展 大村雪乃さん、身近な文房具で表現アート

文房具の丸シールで絵画を制作する現代アーティスト大村雪乃さんの作品「函館」

文房具の丸シールで絵画を制作する現代アーティスト大村雪乃さんの作品「函館」

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 「大村雪乃展『Happiness』」が現在、調布市文化会館たづくり(調布市小島町2)1階展示室で開催されている。

「大村雪乃展「Happiness」会場内の様子

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 公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団が主催し、文房具の丸シールで絵画を制作する現代アーティスト大村雪乃さんの作品を展示する企画展。

 大学で油絵を学んでいた大村さんは、油絵具というものは誰もが触ったことのある画材ではなく、油絵は一部の専門的に学んだ人間だけの技法であり、人々とアートを遠ざける要因ではないかと感じるようになった。アートは誰もが楽しめるものと考え、自分自身のオリジナリティーとアートを身近に感じてほしいという思いから、誰もが知る丸シールという素材にたどり着く。多摩美術大学在学中に丸シールで都会の夜景を表現する絵画を発表し、素材の意外性とビジュアルの美しさで2012(平成24)年Tokyo Midtown Awardでオーディエンス賞を受賞。離れて観ると写真にも見える黒いキャンバスに描く夜景は、近づいて見ると丸シールで、大量の電力を消費する街の明かりで構成される夜景の「金銭的な価値の矛盾や大量消費社会の違和感」を表現しているという。

 同展では、新宿、函館、香港などの夜景を描いた作品や、最近手掛けている花をモチーフにした「カルペディエムシリーズ」のほか、昨今のコロナ禍の心境を表現した新作「Self Portrait」を展示する。

 「いつも『アート』は何のためにあるのか考えている。(中略)私は時代に逆行するように絵画制作を行い、一枚一枚シールを貼って地道に作り上げることで近代のテクノロジーや最新の研究や優れた叡智(えいち)の対極である、土着的で人間的な温もりを表現している。それでもアートの必要性については、創作を続ける今を以てもはっきり明言できないが、この泥臭い仕事をやらなければと感じている。豊かさは便利さの中でなく、表現の先にあると思うから」と、大村さんはコメントする。

 開催時間は10~18時。入場無料。12月23日まで。

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