武蔵野エリアで見られる野鳥は約200種類といわれ、現在、野鳥の繁殖は終盤を迎えているが、調布市内でも愛らしい野鳥の親子が時折姿を見せ、市民の目を楽しませている。
木にほった穴で子育てする日本最小のキツツキ・コゲラ、 都立武蔵野公園で
野川沿いで、「ツーピ、ツーピ」と鳴くシジュウカラのヒナ鳥にえさを与える親鳥。市内小学校の花壇の植え込みに、カルガモが営巣している。都立武蔵野の森公園の池では、バンの親子が並んで泳ぐ姿が見られる。公園を散策中の女性が「カワセミを撮影しに野川に行った知人が、偶然カルガモ親子に出合った」と話す。自然の残る調布周辺では、この時期、子育てをするさまざまな野鳥に出合う。
湧水が水源である野川は冬から春にかけて降雨量が少なかったことから、本格的な梅雨を前に今年は枯れた状態が続いている。カルガモは5月下旬から繁殖を行う。卵は25日前後でふ化、多いときは10羽ほどがかえるという。
武蔵野エリアの都立6公園を管理する西武・武蔵野パートナーズ、パークレンジャーチーフの金本敦志さんによると、地下水が減っているため野川はここ数年、夏場に枯れているという。「例年、武蔵野公園、野川公園辺りでは3、4組の繁殖を確認しているが、今年はまだ確認には至っていない。子育て中のカルガモにとって、安全な場所である川の水が少ないことは、繁殖の妨げになっているのでは」と話す。「加えて、コロナ禍で街なかに出掛けられず公園で過ごす人が増えている。人が増えることは、野鳥の繁殖を難しくするかもしれない」と推察する。
金本さんは「国分寺崖線や野川は、都市化の進んだ地域に残る貴重な自然環境。そこは野鳥などの生き物にとって、安心して子育てや餌取りができる数少ない場所になっている。かわいい姿を見かけた際、触れ合いたくなるところだが、特に子育て中は警戒心が強い種類が多いので、近づかずに温かい目で見守っていただけたら」と呼び掛ける。