悪臭を放つ巨大な花を咲かせる「ショクダイオオコンニャク」が都立神代植物公園(調布市深大寺元町5、TEL 042-483-2300)で間もなく開花すると、SNSで注目を集めている。
まだ葉芽か花芽か分からない5月28日のショクダイオオコンニャク
ショクダイオオコンニャクはインドネシアのスマトラ島を原産とするサトイモ科コンニャク属の植物で、別名「スマトラオオコンニャク」。開花すると、高さ2~3メートルに伸びた「付属体」を取り囲む仏炎苞(ぶつえんほう)が1メートルほど広がり、全体の姿が巨大な燭台(しょくだい)のように見える。
この花の特徴は、世界最大級といわれる大きさだけでなく、付属体から放たれる悪臭。開花している2日間に受粉を助ける虫を多く集めようと、肉が腐ったような臭いを放つ。巨大で異様な姿と腐敗臭の連想から、「お化け花」「死体花」とも呼ばれる。イギリスの王立園芸協会が2009(平成21)年に行った投票では、「世界一醜い花」に選ばれた。
同園では2株のショクダイオオコンニャクを栽培中で、これまでに2011(平成23)年11月・2015(平成27)年9月・2019年7月に花を咲かせた。2015(平成27)年7月に改築工事の小石川植物園(文京区)から預かり展示中に咲いた鉢と合わせて、今回開花すれば5度目の成功になる。国内で同種を栽培している施設は限られ、同園で初めて開花したものは8例目だった。2000年ごろから徐々に栽培研究が進んでいるが、今回の開花でもまだ20例目と見られる。自生地の開発により個体数が減少し、絶滅危惧種に指定されている。同園は植物多様性保全拠点園の一つとして、同種のような貴重植物の生息域外保全にも取り組んでいる。
間もなく咲く個体は、一昨年7月に花を咲かせて花序が倒れた後、9月3日に塊茎の植え替えを行った。芽が出て葉が成長すると、今年1月13日に地上部が枯れて休眠に入った。2月24日に大きな鉢に再び植え替え、5月23日に芽が出た。当時は葉芽か花芽か分からなかったが、やがて付属体が伸びて花であることがはっきりした。開花は近日中。
世話をしている園芸係スタッフは「毎日どんどん変化して開花に近づいている。しっかり見守り無事に咲かせたい」と話す。広報係スタッフは「当園は感染症予防の観点から入場規制しているので、現場に来られない皆さんにも見ていただけるよう細かな情報をSNSでお知らせしている。様子が変わるごとに写真を更新するので、それを見ながら一緒に楽しんでいただければ」とも。