京王線調布駅近くの不動産店「アシスト調布店」(調布市小島町1)の店舗外壁に掲示された物件紹介POPのコメントが、「クセがすごい」「考えた人、神」など、SNSなどで度々話題になっている。
毎月、物件紹介コメントを「絞り出している」という「アシスト 調布店」の渡辺裕介さん(左)と永井孝紀さん(右)
物件情報の上に、黒の油性ペンで大胆に書かれた一言コメントは、「竜宮城」「年貢」「洗濯一か八か」「メガネ屋完備」など、毎月約60物件分のコメントを社員3、4人で手掛けている。店舗が交差点の角にあるため、信号待ちの人の目に留まり、意味だけを尋ねるために入店する人もいるという。
コメントの主な傾向は、1階にメガネ店がある物件には「メガネ屋完備」など、テナントを特典化するタイプ。「年貢」は写真からインスピレーションを受けるタイプで、室内写真に写り込む米俵のように丸められた布団から発想。「竜宮城」は建物名をいじるタイプで、「カメリアガーデン」の「カメ」から発想したという。「洗濯一か八か」は、極狭のベランダから突き出して洗濯物を干すギリギリ感を表現し、難点をあえて強調するタイプなど。「当初はまじめに特徴を書いていたが、だんだんとこうなってしまった。深く考えず、思い付きを大事に」と担当の一人、渡辺裕介さん。POP差し替え作業には約2時間を要するが、更新を楽しみにしているファンも多く、「やめるわけにいかないので、絞り出している」と話す。
同店は現在、コロナ禍による在宅ワークの普及で、郊外物件の需要が高まり、特に都心へのアクセスが良く、再開発が進んだ同市は人気が上昇しており、転入を希望する来店者が増えているという。
當麻雄一店長は「POPがこのスタイルになって約5年。当初は落書きか何かと思われていたようだが、徐々に『POPを見た』という来店者が増えてきた。他の店にはないフランクさを感じて受け入れられたのでは。面白いコメントが生まれたときは職場内に笑いが起こり明るくなる。そんな雰囲気が接客にも生きて、不動産店の入りづらいイメージを払拭(ふっしょく)できれば」と話す。