東京都の絶滅危惧種に選定されている「ムサシノキスゲ」が、府中の都立浅間山（せんげんやま）公園（府中市浅間町4、若松町5）で開花し、まもなく見頃を迎える。

人が手入れを続ける雑木林を好むムサシノキスゲ

　多摩の台地が古多摩川などの河川で削られ、小高い丘として残った浅間山。標高約80メートルの同園だけに自生するムサシノキスゲのほか、希少種のキンラン・ギンランなど多様な動植物の生息・生育域となっている。

　ムサシノキスゲも、かつては多摩丘陵に広く生育していたが、開発による自生地の消失などにより消滅。現在は、「東京都レッドリスト（東京都の保護上重要な野生生物種）2020年版」で、北多摩地区の「絶滅危惧II類（VU）」に選定されている。

　浅間山も同様に、かつては雑木林が荒廃しムサシノキスゲは消滅の危機にあった。危機感を覚えた近隣住民の要望により、1970（昭和45）年に都立公園として開園。樹林地の整備が行われ、産官学民一体となった保護活動の結果、生育環境は改善し個体数は増加した。現在は、北西斜面を中心に約1万5000株が自生する。花期は4月下旬～5月中旬の約2週間。

　今年は3年ぶりに「キスゲフェスティバル」を開催。園内の山野草と野鳥の写真展示や希望者への園内案内、パークレンジャーの質問デスクなどを予定している。

　公園を管理する西武・武蔵野パートナーズ、パークレンジャーチーフの金本敦志さんは「3年ぶりに開催できる見通しの『キスゲフェスティバル』。観察に訪れた皆さまに、野草・野鳥の市民団体やパークレンジャーなどの専門家による簡単な現地案内、これからの見どころの紹介など、気軽に楽しめる内容を用意している。身近な公園に残る自然を楽しみに、ぜひお越しください」と話す。

　イベントの開催は4月30日、5月1日・7日・8日の10時～16時。雨天中止。