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府中市美術館で「京の絵画と敦賀コレクション」 「ふつう」の美しさ探る

土佐光起《伊勢図》(部分)一幅 、絹本着色 、100.9×37.5センチ、江戸時代前期(17世紀後半)、敦賀市立博物館蔵、前期展示

土佐光起《伊勢図》(部分)一幅 、絹本着色 、100.9×37.5センチ、江戸時代前期(17世紀後半)、敦賀市立博物館蔵、前期展示

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 府中市美術館(府中市浅間町1、TEL 050-5541-8600)で3月12日、「春の江戸絵画まつり ふつうの系譜 『奇想』があるなら『ふつう』もあります 京の絵画と敦賀コレクション」が始まる。

円山応挙《狗子図》一幅 、絹本淡彩、45.2×64.4センチ、1778(安永7)年、敦賀市立博物館蔵、後期展示

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 同館では毎年この時期、「春の江戸絵画まつり」と題してさまざまな角度から日本画を紹介する企画展を行っている。今回の展示は、2020年に新型コロナの流行で途中閉幕した同展を、前期・後期の展示内容を見直して再構成し開催する。

 敦賀コレクションとは敦賀市立博物館(福井県敦賀市)所蔵の美術品で、絵画資料だけでも300件を超える収蔵数を誇る。狩野派や土佐派、復古やまと絵、円山四条派、岸派、原派など、日本絵画史を彩るさまざまな流派の作品があり、近世から近代にかけて京の絵画を通覧することができる。府中市美術館ではこれまでも同コレクションの一部を展示することがあったが、今回は敦賀市立博物館の全面協力の下、「えりすぐり」の作品106点(前期・後期)を展示して全容を紹介する。

 見どころは、日本絵画ならではの「絵の具の美しさ」や水墨画に見られる「墨の雄弁さ」など、江戸時代に磨かれたさまざまな美の手法によって描かれた「ふつうにきれい」な作品群を「堪能」できる点だという。

 同展担当者は「近年は伊藤若冲(じゃくちゅう)や曽我蕭白(しょうはく)など『奇想の画家』の人気が高いが、『奇想』の魅力は『そうでないもの』、つまり『ふつう』があって成り立つ。『ふつう』の魅力を知ってこそ、奇想の世界の味わいが深くなり、日本美術史全体を俯瞰(ふかん)することができる」と話す。

 展示作品は、土佐光起(みつおき)の「伊勢図」、円山応挙の「狗子図(くしず)」、岸駒(がんく)の「猛虎図」、狩野雅信(ただのぶ)の「菊花図」、松村景文(けいぶん)の「月・山桜小禽・山茶花鴛鴦図(さざんかえんおうず)」など。前期(4月10日まで)と後期(4月12日~5月8日)で入れ替える。

 敦賀市立博物館学芸員の加藤敦子さんと府中市美術館学芸員の金子信久さんによる「講座+対談イベント『ふつうの系譜』の歴史と魅力」を4月10日、府中市生涯学習センター講堂(同館から徒歩5分)で開く(14時から90分程度、無料)。

 開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。会期中の休館は3月22日と月曜(3月21日・5月2日を除く)。観覧料(常設展を含む)は、一般=700円ほか(「府中っ子学びのパスポート」や障害者手帳などの提示で無料)。観覧券を購入すると2度目は半額になる割引券が付く(同展1回限り有効)。

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