甲州街道「柴崎駅入口」から深大寺に続く佐須街道周辺の「深大寺通り商店街」が、地元に残る地名「十王坂」の由来を題材にしたカードゲーム「十王坂の審理」を制作し、8月1日、先行販売を開始した。
深大寺通り商店街が地元の坂名にちなみ制作したカードゲーム「十王坂の審理」
同商店街近くの上の原通りから厳島神社周辺に上る「十王坂」は、坂上にかつて閻魔(えんま)大王をはじめとする10人の地獄の裁判官「十王」の石像が祭られていたことから、地元の人に呼ばれている通称。現在、石像はつつじが丘の金龍寺に安置され、坂の上り口に住民が名称を書いたという石柱だけが置かれている。今では知る人が少ない同坂名の言われを掘り起こし、地域や商店街を盛り上げたいと、同商店街会長で喫茶店「ボンまいあ」店主の仲丸裕子さんが呼びかけ、「十王」をイラスト化し、地元の印刷会社「セイコー社」と共同で同ゲームを制作した。
同ゲームは、大のボードゲーム好きという同社の石川和義さんが中心となり開発。「あなたは残念ながら亡くなってしまいました…」という設定でゲームがスタート。初七日、四十九日、三回忌などと生前の罪を裁かれながら「徳」を積み、地獄行きを回避するストーリー。ゲームの難易度は3段階あり、推奨人数は3~4人で、6歳から楽しめる。
石川さんは「すでにイラストや世界観があり、ルールを作るのに苦労したので、実際に遊んでもらい高評価を頂いたときはとてもうれしかった。ボードゲームは子どもと大人が一緒に楽しめるのが魅力。多くの人に知ってもらい、地域活性化や人とのつながりを深めることができれば制作者冥利(みょうり)に尽きる」と話す。
仲丸さんは「地元に残る面白い史実を、キャラクターやゲームを通して知ってもらい、愛着を持ってもらいたい。このゲームがおじいちゃんおばあちゃんや家族にとって、子どもと一緒に楽しい時間を過ごせるコミュニケーションのツールになり、生きている間も悪いことをしてはいけないという教訓や知育の場になれば」と話す。「今後はこのキャラクターやストーリーを生かし地域を案内する『地獄巡りツアー』なども企画してみたい」とも。
同ゲームは年2回の大会を企画するほか、公民館や児童館でのイベントや、ボードゲームパーク「調布フォックス」で体験できる。同商店街の一部店舗「ボンまいあ」「とんかつ竹一」「エレガンス」と、10月に開催される「ゲームマーケット2022秋」で販売も行う。