アジア太平洋戦争中に軍用機を空襲から守るために作られた掩体壕(えんたいごう)が残る「武蔵野の森公園」(府中市朝日町3)で9月25日、「ブラむさ森Vol.3『ふるさとの丘から望む調布飛行場の昔ばなし』」が開催される。
終戦後に残された「100式司令部偵察機」と多くの軍用機 撮影:藤原洋さん(1945年秋)
「ブラむさ森」は「武蔵野の森公園の見どころや自然、歴史などを探索しながら再発見してもらう」ガイドイベント。第3回は調布飛行場が一望できる「ふるさとの丘」で、かつて日本陸軍の飛行場として使われ、今も戦争遺跡が保存されていることについて、「調布飛行場の掩体壕を保存する会」の金井安子さんが紹介する。
同飛行場は1939(昭和14)年に東京府が公共用の「東京調布飛行場」として着工し、1941(昭和16)年4月に完成すると8月から陸軍が全面使用した。同年12月の開戦後は陸軍が敷地を拡張し、現在の同園や味の素スタジアム、東京外国語大学などを含む一帯が防衛基地として整備された。戦後は米軍に接収され、やがて「関東村住宅地区及び補助飛行場」となり、1973(昭和48)年に飛行場地区が全面返還された。
現在は公園敷地に掩体壕「大沢1号」「大沢2号」が保存され、「戦闘機飛燕(ひえん)と掩体壕」のブロンズ模型が置かれ、飛行場の排水施設「玉石張(たまいしば)り水路」が残されている。サービスセンターでは公園事業用地内で出土した「旧陸軍100式輸送機のプロペラ」を展示。周辺地域にも「東京調布飛行場門柱」「高射砲陣地跡」「白糸台掩体壕」など戦争の記憶を伝える遺跡がある。
金井さんは「現在の調布飛行場を眺めながら、かつてここにどんな歴史があったのかを紹介する。子どもにも興味を持っていただけるようにクイズ形式など取り入れて話すので、家族連れや若者など幅広い世代の方たちに参加していただければ」と呼びかけている。
同園では「出土したプロペラの展示」「掩体壕」のタイトルで、公園と調布飛行場の歴史を交えながら戦争遺跡を紹介する動画をユーチューブで公開している。「調布飛行場の掩体壕を保存する会」代表の長尾敏博さんは「自分の暮らす町に今でも戦争の爪痕が残っていて、貴重な戦争遺跡があることを知ってほしい」と話す。
開催時間は11時~、14時~(約45分間)。小雨決行。無料。各回定員20人(小学3年生以下は保護者同伴)。事前予約制(11時は満員、14時に空きがあれば当日参加可)。申し込みは公園サービスセンター窓口と電話(TEL 042-365-8435)で受け付ける。