調布インター近くの遠州屋材木店(調布市下石原1)が12月29日、恒例の干支(えと)看板を設置し、現在、愛らしい「卯(う)」の親子が地元の新年を祝っている。
遠州屋材木店前、しめ縄で飾られた親子うさぎが新年を祝っている
材木店には、正月を迎える際に、林場(りんば)と呼ばれる木材置き場を美しく見せるため、置いている角材を整える習わしがある。同社は30年以上前から、角材を使った干支の飾り絵で、地元の正月を飾り続けている。
年の瀬の12月29日、社長の内山信一さんと従業員が設置作業を行った。店前の林場に、それぞれ「卯」の絵のパーツが描かれた角材の束を並べていく。絵を合わせるためにバランスを取りながら、2時間かけて大きな親子ウサギの絵ができ上がった。翌30日、看板の上部に大きなしめ縄を飾り、商売繁盛や家内安全などを祈念して干支看板が完成。
内山さんは「一年が無事に終わったことに感謝しながら飾ることで、その年を締めくくる。年が明けた仕事始めに、従業員と力を合わせて撤去することで『また一年頑張ろう』と気持ちを切り替えられる」と話す。
新型コロナウイルスの世界的流行やアメリカにおける新築住宅需要の拡大などが原因で、2021年に「ウッドショック」が起こり、木材の価格は高騰した。林野庁によると、日本の木材の自給率は約40%で、残りは北米やヨーロッパなどからの輸入に頼っている。干支看板の角材はロシア産の赤松だという。ウクライナ情勢の影響でロシアからの輸入は難しくなったが、「侵攻が始まる前のウッドショック時に、ロシア産の木材は注目され輸入されていた。日本は、木材の価格が今まで安すぎたので、ようやく適正価格になったと思う」と内山さん。
市内で干支看板を飾る材木店は同社のみで、見物客は年々増えており、近隣住民だけでなく、遠方から足を運ぶ人もいるなど、年末年始に人気の撮影スポットになっている。内山さんは「新年の干支を楽しみにしてくれる方がいるので、飾り続けてきた甲斐がある。毎年、家族写真を撮りに来る人もいる。思い出に残る写真を撮りに来ていただければ」と話す。
干支看板は1月6日8時から撤去予定。安全のため、撤去作業中は敷地内立ち入り禁止。