府中市美術館(府中市浅間町1、TEL 050-5541-8600)恒例の「春の江戸絵画まつり」が3月11日、始まった。今回は「江戸絵画お絵かき教室」と題し、「描く視点」から江戸絵画を紹介する。
同館では春に江戸絵画の企画展を開催し、今回で20回目を迎えた。毎回さまざまな切り口で作品を紹介してきたが、いずれも「美術史の視点」からの解説だった。今回は初めて「描く」ことに着目し、画材や技法、描き方のコツ、習得方法、モチーフ選びなどの解説を交えて作品を展示している。
円山応挙が描いた子犬の絵「狗子図屏風(くしずびょうぶ)」(前期)では、体の輪郭線を円く描いてから目・鼻・口を入れ、ふんわりした毛並みや立体感ある色を付けるという手順を示している。「江戸時代の画家はどう学んだか」については、中国絵画をまねたり、室町時代の画僧・雪舟の作品を手本にしたり、オランダ本の挿絵から手法を反映させたりしたことを紹介。徳川家光の個性的な絵画「兎図(うさぎず)」からは「真剣に描いたからこそ醸し出されるユニークな味わい」など、当時の自由な発想や価値観についても触れている。
同館学芸員の金子信久さんは「江戸絵画を自分が描く気持ちになって作品を鑑賞することで、新しい発見や面白さを感じていただければ」と話す。展示作品は、前期(4月9日まで)と後期(4月11日~5月7日)で作品を入れ替えて182点。
仲政明さん(嵯峨美術大学教授)と金子さんが江戸時代の絵画の技法や歴史について話す「語って楽しむ『江戸絵画お絵かき教室』」を4月16日14時から、府中市生涯学習センター2階講堂(同館から徒歩5分)で開く。無料。
開館時間は10時~17時(入場は16時30分まで)。会期中の休館は、5月1日を除く月曜。観覧料(常設展を含む)は、一般=700円、高校生・大学生=350円、小学生・中学生=150円、未就学児無料(「府中っ子学びのパスポート」と障害者手帳などの提示で無料)。観覧券に2度目半額の割引券が付く(同展1回限り有効)。