調布市菊野台の川手進さん宅で7月21日、数十年に1度だけ花を咲かせて枯死してしまう「リュウゼツラン」が開花した。
リュウゼツランはメキシコを中心に米国南西部と中南米の熱帯域に自生するリュウゼツラン科アガベ属の常緑多年草で、熱帯地域で10~20年、日本では30~50年ほどで開花。観賞用だけではなく、蒸留酒「テキーラ」や繊維などの原料としても使用されている。花を咲かせるまでの成長の遅さに、100年(1世紀)に1度開花するという誤った認識から、センチュリー・プラント(century plant)という英語名が付けられ、日本では鋭いトゲを持つ多肉質の葉が放射状に広がることから竜の舌に例えられ「竜舌蘭」と名付けられている。
川手さん宅の庭に開花したリュウゼツランは、20年ほど前に亡くなった祖母が約50年前、旅行先の伊豆から土産として持ち帰り植えたもの。5月下旬から花茎が1日に約10センチずつ成長を続け、1カ月間で約5メートルの高さまで伸びた。7月上旬には薄黄緑色の筒状のつぼみが膨らみ始め、21日に開花。現在は三分咲きで、約1カ月間の開花後に枯死していく。
川手キミコさんは「数十年に1度しか咲かないと言われる花が咲き、驚いている。トゲが鋭いので切ってしまおうと考えたこともあったが、大切にしてきて良かった。亡くなった義母が見守っているよう」と話す。