西調布・創業103年の老舗履物店が閉店 99歳の店主、新しい夢への意気込みも

「中村履物店」の店主、今年99歳になる中村弘さん

「中村履物店」の店主、今年99歳になる中村弘さん

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 西調布駅近く、旧甲州街道沿いにある「中村履物店」(調布市上石原1、TEL 042-482-4847)が3月31日、103年の営業を終え閉店する。

店内に並ぶ下駄(げた)、草履、雪駄(せった)など

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 1914年(大正3年)に、げたを製造・販売する店として先代が開いた同店。現在は、2代目の中村弘さんが1938年(昭和13年)ごろに後を継ぎ、戦後はげたに加え、草履や雪駄(せった)、足袋、靴やサンダルなど、さまざまな履物を仕入れ売るようになった。げたを扱う履物店は、昭和30年代に調布・狛江・府中などの北多摩地区に43軒あったが、時代の流れとともに閉店が続き、現在は、新宿までの旧甲州街道沿いでも同店1軒のみになったという。

 げたは、鼻緒がある木製の伝統的な履物。底に歯があるものが多く、カシやホオノキから作られた日和(ひより)げたは、その名の通り、晴天の日に適した歯の低い差歯(さしば)げた。江戸末期から明治時代に女学生に人気だったという。後に、杉やキリの木などをくり抜いて作る駒げたが主流となり、軽いキリを使用したものが商品化されるようになった。

 13歳で徒弟に入り、親方の下で20歳まで修業した後、家業を継いだ中村さん。幼少時代は普段はわら草履やはだしで歩き、盆暮れにだけ特別にげたを履いたという。げたの需要がなくなることに一抹の寂しさを覚えるが、時代とともに履物が変化していくことは仕方ないと考えている。80年近く店を続けてきた中村さんだが、今年99歳になるため閉店することに決めたという。

 中村さんは「履物店は閉店するが、常連さんが困るのでげたの修理はまだ続けていくつもり。何をするかはまだ秘密だが、閉店後は新しい夢もあり、秋ごろに計画が実現できるようにしたい」と元気に話す。

 営業時間は9時30分~18時。現店舗の営業は3月31日まで。

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