「死の川」と呼ばれた多摩川にアユ戻る 遡上数前年比6倍、過去2番目

二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)付近を遡上するアユ

二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)付近を遡上するアユ

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 調布を流れる多摩川に、2018年に遡上(そじょう)したアユは、推定994万尾だったと東京都が6月1日に発表した。前年比の6倍以上で、1983年の調査開始以降、2番目に多かった。

多摩川でアユ釣りをする釣り人ら

 多摩川の「二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)」(調布市染地2)付近の流域でも、飛び跳ねるアユの姿が多く見られ、6月1日にはアユ釣りが解禁された。

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 かつては深刻な汚染により「死の川」とも呼ばれた多摩川。水質汚染の主な原因は高度成長期の生活排水で、当時、川面には白い泡が立ち、アユは多摩川から姿を消した。下水道の整備が進み水質が改善し、取水ぜきに魚道を作ったことや漁協が産卵場所を整備したことなどにより、アユは少しずつ戻り始めた。

 東京都島しょ農林水産総合センターは、1983(昭和58)年から多摩川下流でアユの遡上調査を開始。2012年には推定遡上数1194万尾と、調査開始以来最高を記録した。近年は遡上の減少傾向が続いていたが、今年は2012年に次ぐ過去2番目の遡上数となった。清流を好むアユの遡上は、多摩川再生のシンボルで、貴重な水産資源でもあり、市民や釣り人などの関心も高い。

 長年にわたり、アユの産卵、遡上観察会などの啓発活動を行い、多摩川を見守り続けている山崎充哲さんは、遡上が多かった理由について「冬場の海の環境がアユの稚魚にとって好ましかったのでは」と推測する。都によると、昨年秋の産卵期とこの春の遡上期に降水量が多かったことで、全国的に太平洋側で遡上数が多い傾向があるという。

 山崎さんは「ここ数年少なかったアユの遡上が増えたことにほっと胸をなでおろしたが、稚魚の数が多すぎると、多摩川で大きく育つことができないのではと心配もしている。秋にたくさん卵を産む大きなアユに育つためには、間引きも必要。今年はアユの数が多く、『餌釣り』で簡単に釣れるので、多摩川のアユ釣りをたくさんの人に楽しんでほしい」と呼び掛ける。

 多摩川でアユ釣りをするには遊漁券が必要。料金は、日釣券=1,000円、年券=5,000円。インターネット通販や釣具店で事前購入または現地購入も可。