仙川駅近くの画材店「motte(モッテ)」(調布市仙川町1)が、12月中旬で48年の歴史に幕を閉じる。
同店は栗田行雄さんと妻の慶子さんが1971(昭和46)年に開業。画材をはじめ、オリジナルの額縁を販売してきた。店に立つ慶子さん、慶子さんの実弟にあたる小沢基弘さんが高齢となり、閉店を決断した。
額縁は小沢さんが依頼者の希望する素材や色に合わせて、オーダーメードで作成する。「絵画や版画、ステンドグラス、理髪店のバリカンまで、さまざまなオーダーに応えてきた」と小沢さん。
「開業してすぐに、武者小路実篤さんから色紙の額縁を依頼された。緊張しながら自宅に納品した」と当時を振り返る慶子さん。その後も、安部公房夫人で舞台芸術家の安部真知さんがたびたび来店するなど、多くの文化人に親しまれてきた。
洋画家の鈴木亜夫さんや緑川廣太郎さんの作品にも数多く携わり、調布市郷土博物館に所蔵された作品にも数多く携わっている。中でも鈴木亜夫さんとの親交は深く、「たびたび製作の合間に訪れ、絵の具の違いなどを講釈してくださった」と慶子さん。鈴木さんが使用したパレットは額装され、現在も店内に保存されている。
慶子さんは「長年続けることで、調布の芸術に貢献することができた。どんな方でもお気軽にご来店いただきたい」と語る。
閉店までの期間中は、画材、額、絵画などのセールを開催している。
営業時間は10時~18時。商品が売り切れ次第、閉店。