オリンピック・パラリンピック教育の一環として「伝えよう世界の食文化~給食で食べたい私が調べた世界の料理~」と題したコンテストが11月25日、調布市立小学校で開催され、深大寺小学校6年生加藤咲耶子さんが考えた「冷汁」が大賞を受賞した。
「伝えよう世界の食文化」コンテスト大賞の冷汁 最終試食審査会にて
同市では日頃から子どもたちの生涯の財産として食育活動に注力する一方、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、アスリートを招いた競技体験や出場国大使館との国際交流など、オリンピック・パラリンピック教育を推進している。その一環として、日本を含めた世界の料理を調べることで世界や食文化の理解を深めることを目的に、本年度の夏休みの自由課題・総合的な探求活動として給食で食べたい世界の料理を市立小学校に通う児童を対象に募集。1200通を超える応募があった。
一次審査では料理の特徴や給食での提供可能性などの観点から、学校給食の栄養士が書類審査を実施。旅行先の長崎で興味を持ち調べたというポルトガル料理「カンジャ・デ・ガリーニャ」、青森の郷土料理で外国人にも食べてもらいたいという「イカメンチ」、ブルガリア人の母親の味「ムサカ」、曽祖父の故郷シリア周辺でよく食べられるという「ファラッフェル」、苦手なトマトがおいしく食べられるというイタリア料理「カチャトーラ」、日本が世界に誇るだしを使う「冷汁」の6作品が最終審査に残った。
同市立小学校では市内で収穫される農産物も使用し、化学調味料などは使わず、素材からの手作りを基本とした給食を各校に設置した給食室で調理して提供する。最終審査に残った6作品について、給食同様天然素材でだし汁を取って、日本にはあまりなじみのないスパイスなども用意し料理を再現。試作会を経て、最終試食審査会を開催した。
同市給食部担当の校長や調理員会代表などが審査員となり、食材・料理の特徴・選んだ理由などの観点から6作品をポイントで評価。日本のだし汁文化をアピールした点や暑い時期にも合う季節感などが高く評価され、「冷汁」が最もポイントを集めて大賞に決定した。特別審査員で食育活動講師のイタリアンレストランオーナーシェフ高師宏明さんは「日本古来の食材を使用していて、昔から食べ続けられている料理を知ってもらう良い機会になるのでは」と評価した。「冷汁」は来年度市立小・中学校の給食で提供する。
加藤さんは「夏になると母が作ってくれる料理でおいしくて記憶に残っていたので選んだ。大賞に選ばれてとてもうれしい」と話し、コンテストを企画した同市小学校教育研究会給食部副部長で富士見台小学校栄養職員の落合嘉子さんは「今回のコンテストが食事を通して世界を広げるきっかけになればうれしい」と話す。