日活芸術学院(調布市染地2)の木村威夫学院長が監督した映画「黄金花-秘すれば花、死すれば蝶-」が11月21日から、シネマート新宿(新宿区)と銀座シネパトス(中央区)で上映される。
木村監督は1918(大正7)年生まれの91歳。16歳で舞台美術の伊藤熹朔さんに弟子入りし、映画美術に従事した23歳から携わった劇場公開作品は230本を超える。第14回モントリオール世界映画祭最優秀美術賞をはじめ、さまざまな賞を受賞。2004年に「夢幻彷徨 MUGEN-SASURAI」で短編映画監督デビューを果たし昨年公開した長編映画「夢のまにまに」では、世界最高齢長編映画監督デビューとしてギネス・ワールド・レコードに認定されている。
同作は、老人ホームを舞台に、個性豊かな老人たちの人間模様を描く。原田芳雄さん演じる植物学者が長年探し求めていた不老不死の花「黄金花」に遭遇したことにより、果てしなく広がる過去の記憶と夢と現実が回り出すというイマジネーションをかき立てる作品に仕上げた。
木村監督は「長い年月、わたしは老妻に迷惑をかけ通しだった。その老妻がついにボケてしまい、仕方なく老人ホームに入ってもらった。こういう老夫婦の有様をドキュメンタリータッチで映像に収めれば間違いないものが出来上がるが、もっと晴れやかに、面白おかしく、老人同士を描いてみたいと思うようになった。前後のつながりや、時間的無視といったものをはじめ、在来の映画文法を少々壊してみて、どうにかフォルム主体の作品となったようだ」と話す。
出演はほかに、松坂慶子さん、川津祐介さん、松原智恵子さん、三條美紀さん、麿赤兒さん、 長門裕之さんなど。
今月21日には、シネマート新宿(11時の回上映後)と銀座シネパトス(12時45分の回上映後)で、それぞれ舞台あいさつを予定している。