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調布・多摩川のアユ遡上激減 台風19号の洪水など影響も

多摩川の二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)付近で捕れたアユ

多摩川の二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)付近で捕れたアユ

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 東京都が6月1日、2020年多摩川に遡上(そじょう)したアユは、推定37万尾と発表。「100年に一度」の豪雨をもたらした昨年の台風19号は、身近な多摩川を一変させたが、川を回遊するアユにも影響をもたらしていた。

台風19号で水流が稲城寄りに蛇行した多摩川原橋上流(右)といまだ爪痕残る河川敷(手前)

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 都は1983年(昭和58)から、多摩川アユの遡上調査を行っている。高度成長期の生活排水が主な原因で、かつて「死の川」と呼ばれた多摩川。川から姿を消したアユだったが、水質改善や魚道、産卵場の整備などから、遡上数は回復した。

 清流を好むアユの遡上は、多摩川再生のシンボルとして、都民や釣り人などの関心も高い。2006年(平成18年)以降は、毎年100万尾以上が遡上していたが、今年は激減。推定遡上数37万尾は、昨年の333万尾の1割程度、過去15年で最も少ない遡上数となった。

 寿命が1年のアユは、海から川を上って夏は上流で過ごし、産卵するため秋になると下流に下る。ふ化した稚魚は、河口付近の東京湾で成長して、春になるとまた川に戻ってくる。

 川崎漁協総代の山崎充哲さんは、遡上が激減した理由について、「前代未聞の少なさだが、遡上の増減は、前年の産卵数によって決まる。アユは水の濁りを嫌う。産卵前に直撃した台風19号による川の増水・濁流で産卵場が減ったことに加え、護岸工事が続いた影響から、川の濁りが続いて産卵が少なかったのでは」と推測する。多摩川に大きな爪痕を残した大型台風は、川の状況に左右されるアユの産卵にも影響した。

 「あの台風で、多摩川は変わった。増水によって川は流路や幅、深さが生き物のように変わる。荒れた川は変化しながら自然に戻るが、護岸や河川敷は人間の都合が入ってくる。遡上の減少は多少心配だが、年ごとの増減は自然の摂理。ゼロになってしまうと困るが、いくらかでも遡上してくれば、一年魚のDNAは必ずまた数を増やせる。人が川に悪影響を与えず自然に逆らわなければ、アユの復活は難しくない」とも。

 6月1日、アユ解禁日を迎えた多摩川。川漁師でもある山崎さんは「数が少ないとアユの餌となる川底のコケが豊富。今年捕れるアユはいつもより3倍大きい」と話す。

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