調布市の東京五輪プレイベントとして、府中の「丸玉屋小勝煙火店」(府中市押立町1)が7月22日、調布・東京オーヴァル京王閣(調布市多摩川4)で約400発の花火を5分間打ち上げた。
京王閣そばの多摩川河川敷で打ち上げ花火の設置作業をする丸玉屋小勝煙火店の従業員
東京五輪のカウントダウンイベントを2017(平成29)年から毎年7月に開催してきた調布市。今年は、同市が競技会場となるスポーツの体験イベントなどは行わず、無観客で花火だけを打ち上げた。
1864年創業の丸玉屋小勝煙火店は、都内に2社しかない打ち上げ花火製造会社のうちの一社。調布、狛江の花火大会のほか、隅田川花火大会、伊勢神宮奉納花火大会など、全国で花火の打ち上げを行っている。しかしコロナ禍で、昨年に続き今年も各地の花火大会が中止になっている。
江戸時代に花火大会が始まって以降、歴史的に見ても、中止された戦時下を除き、コロナ禍による2年連続中止は花火業界にとって異例の事態。夏がメインという季節産業のための経営難に加え、火薬を使った花火の玉は、在庫が減った分しか作れないため、製造中止による技術継承が影響を受けるという。同社が7月に打ち上げる観賞用の花火は今回だけで、「昨年はシークレット花火の打ち上げやネット中継花火の企画などがあったが、一時的なもので今年はほとんどなくなった」と担当者は話す。
同社の竹山さんは「2年続けての中止は予想していなかった。花火大会の中止は、収入面の不安はもちろん、事業継承の問題や社員のモチベーションといった点でもとても厳しい。花火は、やはり家族や友人と一緒に出掛けて楽しむ夏の風物詩。普通に花火大会が開催できる世の中に早く戻ってほしい」と話す。
府中本社に併設された玩具花火店では、手持ち花火や噴出花火などをばら売りしており、一般客も購入可能。営業は月曜・火曜の9時~18時。