府中市郷土の森観光物産館(府中市是政6)に10月、誰でも自由に弾ける「FUCHU STREET ピアノ」が設置され、市内在住のイタリア人ジャズピアニストのアルベルト・ピッツォさんが華麗な演奏を披露した。
同ピアノは府中第八小学校の改築に伴い譲渡されたもので、物産館が市民や観光客に親しまれる交流の拠点になることを目指して10月1日に設置。試行期間を経て、12日に本運用を始めた。ピアノ前面には市のシンボルである国指定天然記念物「馬場大門のケヤキ並木」をモチーフにした図柄がデザインされ、側面にはさまざまな観光資源を表したイラストが施されている。
ストリートピアノは好評で、見事な腕前を披露するお年寄りや、弾いた感想をSNSに投稿する若者もいる。ユーチューブでは、東京農工大学(晴見町3)ピアノ部の学生が演奏したPR動画を配信している。市担当者は「郷土の森博物館など周囲施設を訪れたとき、観光物産館に立ち寄るきっかけになれば」と話す。
イタリア・ナポリ生まれのアルベルト・ピッツォさんは、ヨーロッパやアメリカでコンサートをする傍ら、作曲やテレビ出演など多彩な活動をしている。自分の暮らす街にストリートピアノが設置されたことについて、「市民のコミュニケーションツールになって、音楽が人と人とをつなぐきっかけになればうれしい。音楽は国境も越えるし、会話がなくても交流できる。このピアノが、コロナ禍で失われた人と人との架け橋になることを願う」と話す。
ストリートピアノを演奏した感想について、「コンサートのように観客が会場に足を運んで私の演奏を聴いてくれるのとは違い、たまたま居合わせた人をいかに引き込むかということはアーティストにとってこれ以上ない『挑戦』。とても楽しい挑戦だった」と振り返る。アルベルトさんの演奏動画は11月15日から、府中観光協会のユーチューブチャンネルで見ることができる。
演奏可能時間は14時~16時。利用方法は、ピアノ脇の案内版や府中市郷土の森観光物産館のホームページで確認できる。月曜・年末年始休館、臨時休館あり。