調布市内で活動する高校生のロボットプログラミングチーム「Red Bisons(レッドバイソンズ)」が5月3日~5日、米ダラスで開催された「VEX Robotics(ヴェックスロボティクス)」の世界大会に日本代表として出場した。
VEXロボティクスの日本代表「Red Bisons」が1年間かけて作り上げた今期のロボット
VEXロボティクスは、ロボット製作を通じて子どもたちの好奇心を刺激しながら問題解決力などを習得するアメリカ発祥のSTEM教育教材で、Google、NASA、Teslaなどのグローバル企業がスポンサーとなり、全世界60カ国以上、2万2000以上のチームが活動している。毎年指定される課題を解決する機能の構造を考えてパーツを組み立てプログラミングし、トライアンドエラーを繰り返し1年かけてロボットを作り上げる。チームワークやコミュニケーション力など、次世代を担う子どもたちに不可欠なスキルを育むことも目指している。1年の締めくくりとなる世界大会はコロナ禍の影響で3年ぶりの対面開催となった。
レッドバイソンズは2018(平成30)年、調布市内の小学校に通う4人で結成し、14歳までが対象のプラスチック製「VEX IQ」ロボットを使う「VIQC」クラスで3年連続日本代表となり世界大会に出場。今期はオリジナルメンバーの田邉冠太さん、二宮朋諒さん、松澤奨真さんに猪本陽視さんが新たに加わり、金属製の「VEX V5」ロボットを使う「VRC」クラスにエントリーし、1年かけて独自のロボット製作に取り組んできた。
金属製のロボットはパーツの切断ができるようになるなどプラスチック製より構造の自由度が増し、「より高得点を狙うための構造設計が重要になる」と言い、「練習や大会毎に欠点を修正し組み直すのが大変だったが、ロボット作りは楽しかった」と田邉さん。日本代表戦では、同じロボットを使う中高生12チームで競い、1位となって世界大会出場権を獲得。「自分たちよりも経験があるチームにも勝てたことが自信になった」と猪本さん。
世界大会にはさまざまな国や地域から507チームが参加し、7ブロックに分かれて予選が行われた。「とにかく広くて壮大だった」と口をそろえる米ダラスの会場は、練習場所と競技場所の往復で歩いた距離は1日15キロ。競技はランダムに指定されたチームと組み2チーム同士で対戦するため、初対面のチームと高得点を狙う作戦を立てることが必須となり、英語でのコミュニケーション力も重要となる。予選10試合を通して「英語でのコミュニケーションにも慣れた」と言い、予選を突破したが、ブロック決勝1回戦に僅差で敗れ、4人の今期の挑戦は終了した。
海外渡航が初めてだという猪本さんは「アメリカの自由さや空気感の違いを感じ、日本の良さや食事のおいしさを再認識した」と言い、田邉さんは「結果に満足していないが、やってきたことに悔いはない」と話す。来期に向け、二宮さんは「ロボットの機能美の賞であるビルドアワードも狙いたい」と話し、「今回決勝で組んだチームと再会を果たし、ブロック優勝したチームだけが上がれるアリーナで一緒に戦いたい」と口をそろえる。