東京大学と岡山大学、神戸大学、科学技術振興機構(JST)の共同研究成果プレスリリースです。
2025(令和7)年 1月 13日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
- 地球沸騰化に歯止めをかけるために、化石燃料を燃やしてエネルギーを得る現状のエネルギー生産システムから、水素エネルギーを活用する循環型水素社会への転換が望まれている。
- 炭素-水素結合を多く含む、液体状の有機分子を水素貯蔵体と見なし、有機分子から高いエネルギー効率で水素を取り出す触媒は、水素社会を実現する基盤技術になる。
- 可視光エネルギーを用いて、環状アルカン1分子から、最大限の3分子の水素を常温で取り出せる、世界初の触媒を開発した。
◆概 要
東京大学 大学院薬学系研究科 金井 求 教授・三ツ沼 治信 助教と、岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域 山方 啓 教授、神戸大学 分子フォトサイエンス研究センター レーザー分子光科学研究部門 小堀 康博 教授の研究グループは共同で、可視光エネルギーを利用して、常温で環状アルカンから最大限の3分子の水素を取り出す触媒の開発に成功しました。
本研究では、光触媒、塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)触媒、チオリン酸(TPA)触媒、コバルト触媒の四種類の触媒をシステムとして複合することが成功の鍵となりました。
環状アルカンから水素取り出し反応を進行させる従来の方法は、300度近い高温や紫外光の照射が必要であったり、1分子の水素しか取り出せなかったり、収率が非常に低かったり、といった課題を抱えていました。本成果は、ガソリンスタンドなどの現状の社会基盤設備で容易に提供可能な、液体で軽量な有機分子を水素貯蔵体として、高いエネルギー効率で水素を取り出せる技術の開発の第一歩になることが期待されます。
本件は、2025年1月9日に公開されました。
四種類の触媒を複合した触媒システムにより、常温で環状アルカンから最大限の水素取り出しを達成
◆発表者・研究者等情報
東京大学大学院薬学系研究科
金井 求 教授
三ツ沼 治信 助教
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域
山方 啓 教授
神戸大学 分子フォトサイエンス研究センター レーザー分子光科学研究部門
小堀 康博 教授
◆論文情報
雑誌名:Nature Communications
題 名:Catalytic Acceptorless Complete Dehydrogenation of Cycloalkanes
著者名:Rahul A. Jagtap, Yuki Nishioka, Stephen M. Geddis, Yu Irie, Tsukasa Takanashi, Rintaro Adachi, Akira Yamakata, Masaaki Fuki, Yasuhiro Kobori, Harunobu Mitsunuma*, Motomu Kanai*
DOI:10.1038/s41467-024-55460-y
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-024-55460-y
◆研究助成
本研究は、科研費「学術変革研究A グリーン触媒科学(課題番号:23H04909)」、「挑戦的研究(萌芽)(課題番号:23K18176, 22K19008)」、「特別研究員奨励費(課題番号:22F22109)」、「学術変革研究(課題番号:20H05843, 20H05838, 20H05835)」、「若手研究(課題番号:21K15220)」、JST「さきがけ(課題番号:JPMJPR2279)」、ENEOS水素基金の支援により実施されました。
◆詳しい研究内容について
ついにできた!常温・可視光でアルカンから水素を取り出す触媒を開発
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250109_s.pdf
◆本件お問い合わせ先
<研究に関する問合せ>
東京大学大学院薬学系研究科 教授 金井 求(かない もとむ)
TEL:03-5841-4830
東京大学大学院薬学系研究科 助教 三ツ沼 治信(みつぬま はるのぶ)
TEL:03-5841-4836
<報道に関する問合せ>
東京大学大学院薬学系研究科 庶務チーム
TEL:03-5841-4702
岡山大学 総務・企画部 広報課
TEL:086-251-7292
神戸大学 総務部 広報課 広報グループ
TEL:078-803-6678
科学技術振興機構 広報課
TEL:03-5214-8404
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ 安藤 裕輔(あんどう ゆうすけ)
TEL:03-3512-3526
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8745、086-251-8746
FAX:086-251-8748
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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