東京アートミュージアム(調布市仙川町1、TEL 03-3305-8686)で3月7日、版画展「版画の薫風」が始まった。
堀浩哉さんの作品「樹上の風」1993年)(左)と辰野登恵子さんの作品「無題」1992年(右)
彫刻や絵画を専門にしている4人の作家による作品を展示する同展。出展作家は、若林奮さん、彦坂尚嘉さん、堀浩哉さん、辰野登恵子さん。
若林さんは1936(昭和11)年東京都生まれ2003年没(享年67歳。1959年東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業後、1973年から1年間、文化庁芸術家在外研究員としてパリに滞在し活動。1996年には第27回中原悌二郎賞、2003年には文部科学大臣賞を受けた。
彦坂さんは1946(昭和21)年東京都生まれ。1970年多摩美術大学絵画科油彩を経て、1982年文化庁芸術家在外研修員として米国フィラデルフィア大学大学院に留学。2009年立教大学大学院特任教授に就任した。
堀さんは、1947(昭和22)年富山県生まれ。1967年多摩美術大学に入学し、1969年「美術家共闘会議」を結成し議長を務める。2002年多摩美術大学美術学部絵画学科の教授に就任。2010年東京都秋葉原に多摩美大運営のオルタナティブ・スペース「アキバタマビ21」を開設しプロデューサーを務めた。
辰野さんは1950(昭和25)年長野県生まれ2014年没(享年64歳)。1972年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業、1974年東京藝術大学大学院を修了。1995年に東京国立近代美術館で「辰野登恵子1986~1995」展が開催された。1996年第46回芸術選奨文部大臣新人賞を受賞し、2004年多摩美術大学美術学部絵画学科の教授に就任した。
4人は彫刻や絵画など版画以外の分野も専門にしており、東京造形大学の藤井匡さんは「目の前に展示されているのは版画だが、目の前にないジャンル、それぞれの専門である絵画や彫刻との関連性を想起させる」と話す。「そのような不在のものを想起させる力が、版画という表現方法によって与えられることが重要。版画を見ることは、不在のものを想起すること」とも。
開館時間は11時~18時30分(入館は18時まで)。月曜~水曜休館。入館料は、一般=500円、大学生・高校生=400円、小中学生=300円。5月31日まで。