調布市仙川で11年間続く音楽フェスティバル「JAZZ ART せんがわ」の開催が危ぶまれる状況になっている。存続を呼び掛けるためのイベント「JAZZ ART 存続宣言!スペシャルライブ」が4月17日、調布市せんがわ劇場(調布市仙川町1)で行われる。
同フェスティバルは同劇場ができた2008年、当時芸術監督だったペーター・ゲスナーさんが「プロと市民演奏家がセッションし交流を持つことで舞台芸術家の支援や育成をしたい。生で良質の音を気軽に楽しんでもらいたい」と呼び掛けて始まった。これまでボーカリストの巻上公一さん、チェロ奏者の坂本弘道さん、ベース奏者の藤原清登さんが企画し、同劇場イベント実行委員会が主催してきた。昨年はカナダ・ケベック州ヴィクトリアヴィルで開催されているFestival International de Musique Actuelle Victoriaville との交流プログラムもスタートした。
これまで、即興でジャズ、ロック、歌、ノイズなどジャンルを超えた音楽を披露したり、谷川俊太郎さんなどの著名な詩人が音楽家との共演を行ったりしてきた。ペインティング、サウンドアートなどさまざまな分野の一流アーティストが年に一度集い、劇場の内外でパフォーマンスを見せる場として定着した。子どもや地域住民のための企画「子どものための音あそび」や「公園イベント」なども行われ、アーティストと観客と街が混ざり合う「親密なコミュニケーションの場」「濃密で小さなフェスティバル」に育ってきた。
今年4月、同劇場の運営体制が調布市直営から指定管理者制度へ移行したことに伴い、同フェスティバルの開催が危ぶまれる事態に陥った。「地域住民が身近な場所で創造的な表現に出合う」ことを目指し、地域の中で独自の文化を作り上げてきた同フェスティバルを存続させようと、有志が市に請願する。
当日は、巻上さん、藤原さん、坂本さんのほか、ゲストの川上未映子さん、今村真一朗さん、梅津和時さん、多田葉子さん、三田超人さん、坂出雅海さん、太平楽トリオ(四家卯大さん・田中邦和さん・佐藤直子さん)が演奏し、フェスティバル存続を呼び掛ける。「アフタートーク」として音楽ジャーナリストの横井一江さんをコーディネーターに迎え、プロデューサー陣が「『JAZZ ART せんがわ』の過去、現在、そして未来について」をテーマに語る。
担当者は「『JAZZ ART せんがわ』は仙川で生まれ、仙川で育ったフェスティバル。どうしてもこの地域で存続させたい。当日はここでしか聴けないプログラムを用意したので、一流アーティストの即興ライブを楽しんでほしい。ライブハウスが苦手な人でも入りやすい劇場なので、今まで来たことがない人や即興が初めての人も気軽に立ち寄って」と話す。
「市民の方にはフェスティバル存続を応援していただければうれしい。市への『ご意見・ご要望』メール送信フォームに皆さんの声を届けていただければ」とも。
開場時間は18時30分、開演時間は19時。料金は2,000円、調布市民は無料。予約は名前と人数(調布市民か)を明記して専用メールに送信。