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府中市美術館で「棟方志功展」 板画の連作と大作が一堂に

左:「二菩薩釈迦十大弟子」より普賢(ふげん)菩薩の柵(1939年)
右:「二菩薩釈迦十大弟子」より富樓那(ふるな)菩薩の柵(1939年)
どちらも一般財団法人棟方志功記念館蔵

左:「二菩薩釈迦十大弟子」より普賢(ふげん)菩薩の柵(1939年) 右:「二菩薩釈迦十大弟子」より富樓那(ふるな)菩薩の柵(1939年) どちらも一般財団法人棟方志功記念館蔵

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 日本を代表する版画家である棟方志功(むなかた しこう)の軌跡をたどる「棟方志功展」が5月25日、府中市美術館(府中市浅間町1、TEL 03-5777-8600)で始まった。

「花矢の柵」(1961年)一般財団法人棟方志功記念館蔵 青森県庁の展示作品は彩色されているが、本作は本人の手元に残したもので白地部分に墨を指して重厚さを出している

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 府中市制施行65周年記念として開催する同展は、一般財団法人棟方志功記念館の協力で同記念館所蔵の作品24点を展示している。

 1903(明治36)年に青森市で生まれた棟方は、幼い頃から絵画に興味を持ちゴッホの「ヒマワリ」に感銘を受けた。21歳で油彩画を目指し上京したが、やがて自らに適した表現として木版画に力を注ぐようになる。1939(昭和14)年に制作した代表作の一つ「二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)」は、鋭利で力強い彫りの跡や紙面の白と版面の黒の対比が印象的だと高く評価された。戦後は国内外の展覧会に出品を重ね、1955(昭和30)年の第3回サンパウロ・ビエンナーレ、翌年の第28回ヴェネツィア・ビエンナーレで受賞するなど不動の地位を得て「世界のムナカタ」と呼ばれた。棟方は自らの版画を「板画」、すなわち板の中から生まれた絵画と称した。

 同展では、繊細な線や色の初期作品「版画集 星座の花嫁」から、仏教世界を表した連作や巨大な壁画作品まで、彼の軌跡をたどりながら紹介する。主な展示作品は、岡本かの子の詩に寄せて女性への礼賛をうたった「女人観世音板画巻(にょにんかんぜおんはんがかん)」、青森県庁舎の玄関ホールにも展示されている「花矢の柵(はなやのさく)」、全幅13メートルの大画面に躍動感あふれる人物像が輪舞する「大世界の柵・坤(だいせかいのさく こん)人類から神々へ」など。

 同館学芸員の鎌田享さんが作品について解説する展覧会講座「棟方志功 板画の軌跡」を6月22日、講座室で開く(14時から60分程度、無料)。「20分スライドレクチャー」は6月2日・8日・16日・30日、7月6日に行う(14時、無料)。期間中、子どもや初心者にも分かりやすいようにクイズ形式で作品解説する「棟方志功たんけんたい」シートを配布。

 鎌田さんによると「観る者を圧倒するような大作や屏風仕立ての連作をこれだけ一堂に会するのは貴重な機会」だという。「独自の版表現を模索し続けた彼の作品世界を感じていただければ」と話す。

 開館時間は10時~17時(入場は16時30分まで)。月曜休館。観覧料(常設展を含む)は、一般700円、高校生・大学生350円、小学生・中学生150円(府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」提示で無料)、未就学児および障害者手帳などを持った人は無料。7月7日まで。

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