今年、多摩川に遡上(そじょう)したアユは推定37万尾だった。東京都が5月31日、発表した。
都は1983(昭和58)年から毎年、多摩川のアユの遡上調査を行っている。調査は、河口から11キロの地点に設置した定置網に入ったアユを数える。5月末までの入網数から推定した今年の遡上数は、昨年の208万尾より大幅に減少し、近年で最も少なかった2021年の32万尾の次に少ない遡上数となった。
多摩川の「二ヶ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)」(調布市染地2)付近流域では、アユを狙うサギの姿が見られた。回遊魚のアユは春から初夏にかけて海から川を上る。夏場は上流で過ごし、秋になると産卵のため下流に下り、産卵を終えた母アユはその一生を終える。ふ化した稚魚は3日ほどかけて海に行き、河口付近の東京湾で成長し、春になるとまた川に戻ってくる。
調査を行う都の担当者は「過去のデータを見ても遡上数は年によってバラツキがある。今年の遡上が少なかったのは、昨年秋から冬のアユの産卵期に降雨量が少なく、そのため産卵数が少なかったことが要因の一つと考えられるのでは」と話す。