調布市郷土博物館(小島町3 、TEL 042-481-7656)で現在、「日本活動写真(日活)」誕生100周年を記念した企画展「日活100年と映画のまち調布」が開催されている。
日活は1912(大正元)年に本格的な映画会社として誕生。京都が撮影の中心だった当時、東京進出を考えていた映画会社がフィルムの現像に必要な良質な水と、ロケができる自然豊かな場所の調査を一人の青年に命じる。半年に及ぶ調査の結果、青年は調布市の多摩川にたどり着き、「ミズスミジダイゲキゲンダイゲキニサイテキ」と本社に電報を打った。この青年が後の第4代調布市長となる本田嘉一郎だった。
1933(昭和8)年に、現在の京王多摩川駅隣接地にあたる同地に「日本映画」が撮影所を開設したがすぐに倒産。翌年日活が買収し、日活多摩川撮影所が誕生する。その後、1939(昭和17)年に映画法が公布され国家による検閲が強化。1942(昭和17)年に、日活・新興キネマ・大都映画の3社が合併し、「大日本映画制作(大映)」として統合される。戦後、日活は映画制作を再開するために、染地に撮影所を建設。中央映画撮影所も開設され、映画産業の黄金期に調布は「東洋のハリウッド」と呼ばれるようになる。
同展では、映画産業の移り変わりが分かる台本やポスター、チラシをはじめ、石原裕次郎さんや吉永小百合さんなどのブロマイド、各種撮影機材などが展示されている。展示物のおよそ7割は、日本各地で映画に関する講演や「映画展」へ資料提供を行っている、映画史研究家の畑三郎さん所蔵の資料。
同館の平自由(たいらじゆう)さんは「日本最初の本格的映画会社となった日活が、時代の波に翻弄(ほんろう)されながら生きてきた100年の歴史と調布との関わりが分かるよう苦心した。めったに一般公開されない資料もあるのでぜひ来場いただければ」と話す。
開催時間は9時~16時。月曜定休。入場無料。10月21日まで。