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調布で幻の映画「ひろしま」上映-惨状克明に描く、50年以上倉庫に

惨状を克明に映像化した幻の映画「ひろしま」

惨状を克明に映像化した幻の映画「ひろしま」

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 調布市グリーンホール(調布市小島町2)で10月21日、映画「ひろしま~1945年8月6日、原子雲の下の真実・愛」が上映される。

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 1953(昭和28)年に関川秀雄さんが監督を務め、広島市の教職員を中心に市民約8万5000人がボランティアとして参加し、制作された同作。関川監督は原爆投下直後の悲惨な街の様子の映像化に精力を傾け、百数カットに及ぶ撮影を行い、被災現場における救護所や太田川の惨状を再現した。

 主演は、今井正監督の「また逢う日まで」で久我美子の相手役を演じ、一躍注目を浴びた岡田英次さんと、広島市出身で元宝塚歌劇団娘役トップスターの月丘夢路さん。山田五十鈴さんなど当時の人気俳優も出演し、1955(昭和30)年には第5回ベルリン国際映画祭で長編映画賞も受賞した。しかし、映像が衝撃的なこともあり、完成後もほとんど上映されず、50年以上も倉庫に眠っていたところ、同作のチーフ助監督を父に持つ狛江在住の小林一平さんがフィルムを発掘し、昨年から上映会を実施。エキストラとして参加した広島市民でも、上映会で初めて見た人が多数いたという。「映画の街」であり、隣接する調布市でも上映したいとの意向を受け、今回の開催につながった。現存するフィルムは2本のみで、今回上映するものは広島市から特別に借りたもの。

 ストーリーは広島のある高校から始まる。岡田英次さん演じる北川教諭のクラスで、原爆による白血病が原因で生徒が鼻血を出して倒れた。このクラスでは、3分の1の生徒が被爆者だった。あの日、疎開作業中に被爆し、川の中で絶命した姉。建物の下敷きになり炎に包まれた妻を助けることができなかった父親。70年間生物は住めないという広島に出た大根の芽が、人々に希望を与えるなどのエピソードが盛り込まれる。

 同作に対し、吉永小百合さんは「一人でも多くの人にみていただきたいと願っています。あなたの胸に被爆した人たちの、子供たちの切なる思いが届きます様に」(原文ママ)とコメントを寄せている。主催する実行委員会の藤川さんは「放射能の恐ろしさを世界に発信していくことが日本には求められていると思う。被爆から8年後という時期、8万人の市民ボランティア、そして当時の映画人の情熱も加わりこの大作ができた。映画プロデューサー、小林一平さんの講演もあり、入れ替えなしで上映するので、ぜひご覧いただければ」と話す。

 当日は、3回上映。各上映の開場時間は10時、13時、16時30分。上映時間は104分。前売り券は、大人・大学生=900円、高校・中学生=500円。グリーンホール(TEL 042-481-7611)で販売している。

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