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府中市美術館で「ほとけの国の美術」 仏画の大作や蘆雪の初公開作品など

土佐行広「二十五菩薩来迎図」部分(17幅のうち)重要美術品 二尊院蔵

土佐行広「二十五菩薩来迎図」部分(17幅のうち)重要美術品 二尊院蔵

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 府中市美術館(府中市浅間町1、TEL 050-5541-8600)で3月9日、「春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術」が始まる。期間中、江戸時代の絵画制作の根底にある「仏教」をキーワードに、現代人の心を魅了するさまざまな作品を紹介する。

「地獄極楽図」(18幅のうち)照円寺蔵

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 多くの仏画は平安・鎌倉時代に開花したが、江戸時代にも「古典」として学ばれ優れた作品が生まれた。そんな仏画の一つで、所蔵する照円寺(石川県金沢市)でも春と秋の彼岸にしか公開されない「地獄極楽図」を同展(後期)で展示する。昨年修理を終えたばかりの室町時代の大作で、二尊院(京都市右京区)が所蔵する土佐行広の「二十五菩薩来迎図(ぼさつらいごうず)」も展示(前期・後期)。

 涅槃(ねはん)図に代表されるような動物絵画にも「命の大切さ」を説く仏の教えがある。同展では、円山応挙と並び評される長沢蘆雪(ろせつ)の「子犬図屏風(びょうぶ)」を初公開(前期・後期)。これまで蘆雪が描いた子犬絵はほとんど掛け軸だったが、新たに発見された同作品は大きなびょうぶに描かれている。

 その他、「常識を越えよ」と説く禅画の精神を鋭く伝えながら味わいのある「へたうま」作品や、仏や人物にまつわる逸話から生まれたユニークなキャラクター作品など、近世以前の仏教美術の優品を紹介する。

 同館学芸員の金子信久さんは「怖い絵も、変な絵も、かわいい絵も、全て『ほとけの国』で生まれたアイデアにあふれる作品。仏教がなければ生まれなかった美術を楽しんでほしい」と話す。展示作品は、前期(4月7日まで)と後期(4月9日~5月6日)で作品を入れ替え、延べ117点を展示する。

 金子さんによる展覧会講座「ほとけの国の美術 来迎図から子犬の絵まで」を4月27日14時から、同館から徒歩5分の場所にある府中市生涯学習センターで開く。無料。会期中、展覧会を見ながらクイズに挑戦する子ども向けイベント「ほとけの国の探検隊!」も行う(年齢制限なし、無料)。

 開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。会期中の休館は月曜(4月29日・5月1日は開館)。観覧料(常設展を含む)は、一般=700円、高校生・大学生=350円、小学生・中学生=150円、未就学児無料(「府中っ子学びのパスポート」と障害者手帳などの提示で無料)。観覧券に2度目半額の割引券が付く(同展1回限り有効)。

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