調布市仙川駅近くで収穫体験などを開催する「伊藤農園asobibatake」(調布市仙川町1、TEL 03-6555-5256)の伊藤彰一さんが開発した農業用栽培管理アプリ「AGRIHUB(アグリハブ)」のユーザー登録者数が8月1日、5万5千人を突破した。
京王線仙川駅から徒歩3分の場所で年間約40品目を栽培し、学校給食や近隣のスーパーなどに出荷している同園。農地の一部を「asobibatake」と名付け、夏野菜の収穫体験なども展開している。伊藤さんは農家を継ぐことを考えながら大学で電子工学を専攻し、卒業後はITベンチャー企業でシステムエンジニアとして勤務後、10年前に就農した。
農作業に取り組む中、手作業で農薬を調べ、手書きで農業日誌を作成することに負担を感じ、農作業の合間を使ってアプリ開発を始めた。農薬管理や農作業の記録などをスマートフォンで行えるアプリを約1年半かけて完成させ、2018(平成30)年9月にリリース。農作業を熟知した農家が作った個人農家向けアプリとして使いやすさが口コミで広がり、2021年1月にはユーザー数が1万人を超えた。
同年2月には、JA(農業協同組合)と提携し栽培管理データを共有できる組織向けの「AGRIHUBクラウド」の全国販売を開始。その後もコンセプトは変えずに、利用者の声を取り入れながら改良を重ねた。当初の対象だった小規模農家だけでなく、大規模農家向けに、地図上で農地情報を一元管理する機能も拡充。農薬のパッケージをスマートフォンで撮影するだけで登録できるAI機能も追加し、一括処理や分析などのオプション機能の有料提供も始めた。
リリースして約8年でユーザー登録者数は少しずつ増え続け、先月、5万人を超えた。「多くの農家に支持されるアプリ」として紹介されることも増えたが、「まだまだ成功した感じはない」と伊藤さん。「農業データのプラットフォームになり、農業界のDXをけん引する」という開発当初からの目標に向け、さらなるユーザー数と認知の拡大を目指すという。
昨今のAIの急速な進化を受け、伊藤さんは「AIをベースにしなければ、時代遅れのアプリになってしまう。AIを活用してサービスを進化させ、農家の隣に秘書がいるような世界観を作りたい」と今後を見据える。